先週、米国の音楽業界団体からコンテンツを不正に公開しているとして引き下げ要請を受けた、人気のラップ歌詞サイトの「Rap Genius」(ラップ・ジーニアス)が、業界最大手の音楽出版会社Sony/ATV Music Publishingとライセンス契約で合意しました。
世界の音楽出版ビジネスで30%以上のシェアを持つSony/ATVの会長兼CEOのマーティン・バンディアーはRap Geniusのソングライターと音楽ファンをつなげる新しい刺激的なアプローチを高く評価していると、コメントしています。
Rap Geniusは「ヒップホップのウィキペディア」と呼ばれるRap Geniusは、ユーザがラップ歌詞を追加できるだけでなく、独自の解説やコメントを追加できる「アノテーション」機能が人気を集めています。
Rap Geniusの共同設立者Tom Lehmanは、その他の音楽出版社とも交渉を進めており、契約に合意していけばアーティストとの関係もより強固になるだろうとコメントしています。
Rap Geniusは先日アメリカの業界団体NMPAが公表した、正式な契約を結ばずにコンテンツを公開している50の歌詞サイトのリストでトップに名前が挙がっています。
今回Sony/ATVと提携したことによって、Rap Geniusのコンテンツの一部は著作権を持つ状態になります。ですが、サイトで公開されている多くの歌詞は複数のライターと音楽出版社が関与しているため、簡単にNMPAが指摘する著作権侵害をクリアすることはできないと思われます。一方で、今後歌詞サイトや音楽メディアも音楽出版社とライセンス契約を結ぶ流れが活性化していくような気がします。
スタートアップのインキュベーター「Y Combinator」卒業のRap Geniusは、ラップ歌詞だけでなく、ロック歌詞、詩、ニュースなど、テキストにユーザーが解釈を追加して共有できるクラウドソース型のサイトです。このニューヨークのスタートアップには、10月にシリコンバレーのVC、Andreessen Horowitzが1500万ドルの資金投資を行いました。