image via Flickr (Jamie Bellal)

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定額制音楽ストリーミングサービス「Spotify」と英国を代表するクラブ・ブランド「Ministry of Sound」は、Spotify上に作成されたプレイリストを巡る訴訟で和解しました。

この訴訟は、Spotifyのプレイリスト機能を使ってMinistry of Sound(MOS)のコンピレーションを模倣したプレイリストがアップされシェアされたことから、著作権侵害しているとして削除要請を起こしたMOS側と、要求を拒んだとされるSpotifyによる争いでした。Ministry Of Soundは2013年9月にプレイリストの削除要求が拒絶されたとして、Spotifyを訴え、その後は法廷での争いに発展していました。

今回、Ministry of SoundとSpotifyは「友好的」な和解により解決したことが明らかになりました。

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Ministry of Soundはクラブ・シーンをフォローしている人には説明不要のメガブランドで、ロンドンのElephant and Castleにある大型クラブ、ヨーロッパ各地や南米、アフリカ大陸などのDJツアー、世界的に人気のダンスミュージック・コンピレーションをリリースするレコードレーベルを運営しているブランドです。

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Ministry of SoundはSpotifyに対し該当するプレイリストの削除、そしてプレイリストをコピーしたユーザーおよびMOSのブランドネームとロゴを不当に利用したユーザーの永久的なアカウントの停止を請求していました。

この訴訟でMinistry Of Soundは、Spotifyが配信する個別の楽曲に関する著作権はSpotifyと権利関係者の間で取り決められるが、コンピレーションの場合は選曲および曲順が著作権保護の対象になり、従ってSpotifyで勝手にユーザーがコンピレーションの意図に反しプレイリストを作成しシェアすることは違法行為に当てはまるという主張を示しました。

Spotifyのライセンス事業担当のトップ、ジェームズ・ダフェット-スミス (James Duffett-Smith) は「SpotifyとMinistry Of Soundは友好的な解決策に合意できたことを嬉しく思います」とコメントしています。

レポートしたガーディアンによれば、Spotifyは該当するプレイリストを検索エンジンで非表示にし、そして新たにユーザーがプレイリストを見つけにくくするために今後はフォロー機能をブロックして行きます。

しかしプレイリストは削除されることなく、今後も残ります。

今回の和解によって、訴訟はイギリス高等法院での判決が示されることが無くなったため、プレイリストの問題が今後どのように扱われるのか分からなくなりました。Ministry of SoundとSpotify両社は和解の内容を明らかにしていません。

この2社の争いでは、Spotifyと著作権保護に関する新たな議論が浮上しました。大きな議論はレコード会社のキュレーションによる作品(=コンピレーション)は著作権保護の対象になるのかということです。

・Ministry Of Soundが主張したコンピレーションの曲順や選曲は、はたして著作権保護の対象になるのか?

・Spotifyは今後レコード会社の主張によって、ユーザーをブロックするのか?

また今回の和解によって、レコード会社とSpotifyのビジネスも変わる可能性が出てきました。

今後MOSはSpotifyと組み、MOSブランドのコンピレーションを公式にSpotify上で公開することで、MOSブランドの認知度は大きく向上し、クラブやイベントの集客やコンピ売上げアップにつながる可能性が考えられます。

ダフト・パンクのトーマ・バンガルテル(Thomas Bangalter)が作成したプレイリスト

ダフト・パンクのトーマ・バンガルテル(Thomas Bangalter)が作成したプレイリスト

ですが、一方で問題となるのは、コンピレーションの楽曲から入るロイヤリティ支払いはSpotifyと契約している各レコード会社やアーティスト、権利関係者へと分配されるため、収益面でのデメリットが発生します。

MOSにとってコンピレーションをSpotifyで配信し利益化するためには、広告からのレベニューシェアなど新しいビジネスモデルが必要になってきます。

spotify-apps

1つの可能性として考えられるのは、Spotify音楽アプリを活用し「MOSブランドのSpotifyアプリ」で配信することで、楽曲カタログを見つけやすくしたり、聴きやすくすることが可能性として上げられます。

Spotifyにとってユーザーが作るプレイリストは、音楽検索とは異なりよりパーソナルな側面を音楽発見に繋げられるため、非常に重要視しています。2013年にはこれまでSpotify上で作成されたプレイリストが10億個を超えたことを発表しています。またSpotifyは、リスナーが気分やジャンル別に音楽を見つけやすくできるように適切なプレイリストへすぐにアクセスできる「Browse」機能をデスクトップやスマホアプリに追加しています。時間制限のないミックステープが10億個も存在する

ソース
Spotify and Ministry of Sound settle music playlists copyright lawsuit (2/27 The Guardian)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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