これも成長のために避けられない道ですね。
近年、欧米の若者を中心にアナログレコードの人気が復活し、売上枚数は過去最高水準に迫る勢いで毎年増加しています。その一方で問題として浮上してきたのは、アナログレコードのプレス工場の設備不足のため、世界中からオーダーに見合うスピードで製造することが困難なことが問題になりつつあります。
チェコにある世界最大のプレス工場GZでは、今年2月に1日だけで4万2000枚のアナログレコードをプレスするほど現場はフル稼働体制で生産しています。GZはさらに6台の中古のプレスマシーンを購入し、受注に見合う製造規模を拡大しようと試みています。しかし、これらのマシーンの半数を正常に作動させることは難しいと伝えられています。
アナログレコードの人気は依然として衰えを見せること無く拡大して、2014年上半期だけでアナログレコードの売上は前年比40%増加しました。また調査会社ICM Researchの調査結果によれば、フィジカルで音楽を購入した中の15%はコレクションを目的に購入しているとレポートしています。
イギリスのミドルセックスにあるプレス工場 Vinyl Factoryのクリエイティブ・ディレクター、ショーン・ビダー(Sean Bidder)は
アナログレコードの売上はまだ今後も成長するでしょう。大勢のティーンネイジャーがアナログレコードのファンになりました。デジタル音楽しか知らずに育ってきた世代にもかかわらずです。
と述べています。
Vinyl FactoryではThe XXのスペシャル・エディションからエルヴィス・プレスリーまで、幅広いジャンルのアナログレコードを製造しています。
Vinyl Factoryの製造ディレクター、アダム・テスキー(Adam Teskey)によれば、毎年4月に開催するアナログレコードをアーティストとファンが一緒に楽しむイベント「レコード・ストア・デイ」はアナログレコード好きにとっての「新しいクリスマス」となり、稼働ピークもこれまで最もオーダーが集まっていた10月〜12月から移行したと述べます。
さらにアナログレコード人気復活は、レコード会社にも答えのない問を投げかけています。レコード会社は、どれくらいのボリュームのアナログレコードを製造すればいいか、売り切れたらどうするか、ファンは製造が追いつくまでまってくれるか、といったアナログレコードの製造と供給の関係で起こる難問を考えなければならなくなりました。現在ではメジャーレーベルからリリースされる新作だけでなく、インディーズレーベルからのリリースもアナログレコードで販売されるようになっています。従って購入することにプレミアム感を付与できるアナログレコードをリリースするタイミングと枚数の確保は最重要課題になります。
日本でも少しづつですが人気の兆候が現れ始めたアナログレコード。世界ではアナログレコードはデジタル音楽世代が体験したことのない、所有欲を満たしてくれる音楽の楽しみ方として、新しい付加価値を届けてくれています。はたして日本にも新しい音楽の楽しみ方が浸透する時代が来るでしょうか?
ソース
Manufacturers are struggling to keep up with the resurgence in vinyl records (8/27 The Independent)