YouTubemusickey

YouTubeはサブスクリプション型音楽サーヴィス「YouTube Music Key」を17日にリリースすることを発表しました。

YouTube Music Keyは月額9.99ドルの定額制音楽サービスで、広告に邪魔されることなく、音楽ビデオやアーティストのフルアルバムが高音質で見放題できるサービスです。Music Keyでは、別のアプリを使用している時や画面ロック時でも再生できるバックグラウンド再生機能や、ネット回線のない場所でも動画閲覧ができるオフライン再生機能が備わっています

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Music Keyは当初招待制のベータ版としてリリースされ、早期のユーザーは初めの6ヶ月間は無料、その後は通常の月額料金よりも安い月額7.99ドルで利用することができます。ローンチ開始時は米国と英国、スペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランド、フィンランドのヨーロッパ6カ国での利用のみとなります。

http://youtube.com/musickey

YouTubeはいつから一般向けにサーヴィスが公開されるか、またどのようにアーティストやレコード会社、権利保有者にロイヤリティ支払いが行われるか、明らかにしていません。

グーグルがすでに提供する定額制音楽聴き放題サーヴィス「Google Play Music」(月額9.99ドル)に加入しているユーザーは、YouTube Music Keyへのアクセスが可能になります。

YouTubeはまた広告付きの無料音楽サーヴィスを同時にローンチします。YouTubeのサイト、iOSアプリ、Androidアプリでは音楽専用のセクションが設置され、ユーザーの好きな音楽ビデオが表示されるほか、プレイリストでのレコメンデーション、さらにサイトで注目される音楽を集めたプレイリストなどが表示されます。

またYouTubeでは今後無料ユーザーはYouTube上で公式の音楽ヴィデオやアーティストのフルアルバムが高音質で閲覧出来るようになり、さらにアーティストのバイオグラフィーが読めるようになると言います。グーグルはYouTube Music Key開始にあたりレコード会社とライセンス契約を結び数百万曲を追加しています。

YouTube Music Keyはグーグル同社初となる無料と有料サーヴィスを世界最大の無料動画サイトで提供する取り組みで、これまでのどの音楽ストリーミングサーヴィスとも異なる内容です。またこのサーヴィスは、グーグルにとって新たなマネタイゼーションの可能性です。YouTubeのサーヴィスが無料ユーザーを有料会員へと転換できれば、音楽ストリーミングの分野はユニークなポジションを維持できる可能性があります。なぜなら数ある音楽ストリーミングサーヴィスの中で、他社と同レベルの月額料金で動画を提供しているのはYouTubeのみだからです。

動画で音楽を楽しむユーザーにとってはYouTube Music Keyは嬉しいニュースです。今後はこのサーヴィスによって動画やキュレーション型プレイリストを活用したYouTube内のプロモーション戦略が変化していくかもしれません。ですが、すでに多くのユーザーを獲得しているYouTubeがMusic Keyによって新たなユーザーを獲得するとは考えにくいのが現状ですYouTubeで音楽を聞いたことのないユーザーが今でも存在するかどうかも考えにくい話で、それほどまでに今のYouTubeは音楽を探して聴く場所として定着しています。

音楽業界にとってもYouTube Music Keyは新たな収益源になると考えられます。まずYouTubeの新サーヴィスは、同サイト内での音楽試聴を大きく伸ばす要因となることが期待されています。YouTubeはこれまでアーティストとレコード会社に10億ドル以上のロイヤリティを支払ってきたと述べています。YouTube Music Keyが成功すれば、この額が大きく増加し、結果的にはアーティストやレコード会社へのロイヤリティ支払い総額も増加すると想像出来ます。

一方で、無料ユーザーを有料会員にすることでSpotify以外の多くの企業は苦戦しています。Spotifyはユーザー数5000万人以上を獲得し、その内の1,250万人を有料会員として抱えて、「フリーミアム」モデルの戦略を実現しています。

Spotifyはフリーミアム戦略を実施して、これまでアーティストやレコード会社にYouTubeの倍額となる20億ドル以上のロイヤリティを支払ってきました。

YouTube Music Keyの成功への鍵はどれだけYouTubeがすでに獲得してきた音楽好きを有料会員に置き換えられるかになります。つまりはユーザーが月額料金を支払いたいと思うサーヴィス価値があるかどうかが問われます。現在限られた情報では、Music Keyの付加価値は動画が見れる以外は他社がすでに提供する機能とさほど変わりません。果たしてどのようなユーザーが有料会員になっていくのでしょうか? 今後の動向に注目です。

ソース
Music on YouTube that hits the right note(11/12 YouTube blog)
YouTube announces plans for a subscription music service (11/12 The Verge)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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