海外の音楽ビジネスの話。
グーグルに対してYouTubeが新しく始めた定額制音楽ストリーミングサーヴィス「YouTube Music Key」から楽曲を削除するように要求していることがわかりました。対象の楽曲数は2万曲。その中にはファレル・ウィリアムスやジョン・レノンなどが含まれています。もしグーグルが削除しなければ、10億ドルを要求する訴訟の準備をしているとのことです。
音楽権利団体「Global Music Rights」(GMR)のクレームによると、グーグルはYouTubeの新規サーヴィス開始にあたり、レコード会社や音楽出版社とライセンス契約を交わしましたが、その中にGMRとは契約で合意していなかったにもかかわらず、新サーヴィスでは楽曲配信していることが問題になっています。
GMRはタフなネゴシエーターとして有名な、音楽業界で最も影響力のあるマネージャー、アーヴィン・エイゾフ (Irving Azoff)率いる団体です。GMRはファレル・ウィリアムス、スモーキー・ロビンソン、ザ・イーグルス、クリス・コーネルなど多数のアーティストを代表しています。GMRはYouTubeから2万曲の削除をグーグルに要求しています。
SpotifyやPandoraと競争するために11月には定額制音楽サーヴィス「YouTube Music Key」を立ち上げたグーグルのリーガルチームは、配信の権利はすでに獲得していると云っています。
GMRはYouTubeに対して、GMRとの権利合意を証明する書類の提示を求める書簡を送りました。
もしグーグルが楽曲を削除しなければ、GMRは最大10億ドルの訴訟をYouTube相手に起こすと警告しています。
グーグルは現在も従う動きは見せていません。
リスナーの音楽の聴き方が多様化してきたことによって、音楽ストリーミングサーヴィスに対する需要は高まり、世界的に急激に成長しています。しかし、サーヴィスとアーティストやソングライターとの間では、多くの人気楽曲を配信したいサーヴィス側と、公平で十分なロイヤリティ分配を主張するアーティスト/マネジメント/ソングライター側の主張が交錯して、問題が表面化しています。ロイヤリティ問題では、日本でも分配に関する交渉が難航して、Spotifyなど海外の音楽配信サーヴィスがなかなかスタートすることができていません。そのような状況の日本でも、いずれはアーティストやソングライターの権利にも注目が集まる日が来ると考えられます。結論に達することはないのかもしれませんが、みなさんはどう思いますか?
ソース
YouTube threatened with $1 billion lawsuit over music rights(12/23 Daily dot)
cc image by NRK P3 via Flickr