PJHarveyRecordingInProgress

史上初めてイギリス音楽シーンで最も権威あるアワードのマーキュリー賞を2度受賞したPJハーヴェイが、クリエイティブと音楽ビジネスを組み合わせた実験的な取り組みをロンドンで開催します。

PJハーヴェイとバンド、長年のコラボレーターでもあるプロデューサーのジョン・パリッシュ、エンジニアはロンドンのサマセット・ハウスに設置したマジックミラーの箱の中で4週間に渡り新アルバムのレコーディングの模様を「Recording in Progress」というタイトルのアートインスタレーションとして一般公開します。

PJharvey-Recording-in-Progress

このプロジェクトの実験的な部分は、PJハーヴェイを「変化する多次元的な音の彫刻」としてディスプレイして、レコーディングの模様を45分鑑賞するチケットを15ポンド(22ドル)で発売したことです。来場者はバンドがアイデアを議論する様子や実際にトラックを演奏する模様などレコーディングのあらゆる様子を見て楽しむことができます。

3,000枚用意されたチケットはすでにソールドアウト。仕方がないか。

レコーディング・セッションは1月16日から2月14日まで行われます。このプロジェクトはPJハーヴェイとサマセット・ハウス、ロンドンのビジュアルアート団体Artangel (アートエンジェル) のコラボレーションによって実施されます。

PJハーヴェイのプロジェクトでユニークな点は普段はプライベートなクリエイティブなプロセスであるレコーディングの様子を一般人と共有してしまうという提案。Instagramでスタジオの様子を共有したり録音風景をYouTubeで公開すると、アクセスした誰もが見ることができます。しかし今回は、全ての作業がリアルタイムで目の前で起こりますが、作業風景はクローズドな環境でアートを観賞するような体験をファンには提供することができるのです。

公開録音では瞬間的な一部をその場にいる全員で体験共有することができないが、「アート」なら楽しみ方や感じ方が個別になる分作品への思い入れや見方もまた変化してきます。「クリエイティブ・プロセスを販売する」ことは自分の手の内をオープンにすることと同じで、アーティストや制作者にはリスクと捉える人もいるかもしれません。しかし横並びの音楽では受けいられない時代になった今、オープンなことを含めどれだけ魅力的な作品を作れるかは、アーティストの力とクリエイティビティが試される時代になっていると思います。

ソース
PJ Harvey Sells Exclusive Look Into Recording Sessions To Fans (1/8 hypebot)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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