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イギリスで公式の音楽売上データを集計する「オフィシャル・チャート・カンパニー」は、3月からSpotifyなど音楽ストリーミングサーヴィスの再生回数をアルバムチャートにカウントすることをは発表しました。

現在のアルバムチャートはCD、LP、ダウンロード売上をカウントするチャートでした。今後はSpotiy、Deezer、Napster、Google Play Music、o2 Tracks、Rara、Rdio、Xbox Musicからの再生回数を集計して、統合チャートとして公式なアルバム売上データを提供します。データ集計は、英国音楽最大のアワードの「ブリット・アワード」開催に合わせて2月23日から開始し、新しいアルバムチャートは3月1日に発表となります。

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英国でも音楽ストリーミングは急速に普及して、デイリーのストリーミング再生回数は英国内だけでも2,500万回(2014年1月)から5,000万回(2015年1月)と倍に拡大しています。

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アーティスト別でも、昨年最もストリーミング再生されたエド・シーランのアルバム「X」は2億回以上トラックが再生されました。

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イギリスではすでにシングル・チャートにダウンロードやCD売上に加えて音楽ストリーミングの再生回数を統合する”統合チャート”を2014年7月に開始しました。

世界的に見てもスウェーデンは2013年に、アメリカでは2014年暮れに音楽ストリーミングの再生回数をアルバムチャートに連携し始めました。

業界関係者は今回の変更が短期的で商業的な人気獲得ではなく、長期的なファンとの関係性の構築を推進することに期待しています。そして、このチャートの導入によって、どうやってアルバムを継続して聴かせるか、音楽のマーケティング戦略にも大きな影響を与えることにも期待が膨らみます。

定額制音楽ストリーミングサーヴィス「Spotify」のヨーロッパ地域レーベル・リレーション代表のケヴィン・ブラウン(Kevin Brown)

北欧では、アルバムチャートに音楽ストリーミングを加えたことは、レコードレーベルのマーケティングに対するアプローチの変化を反映したことを意味します。全く新しい考え方が要求されます。歴史的に音楽のマーケティング施策は、作品のリリースに最も重点的に行い、チャートで大きな話題を集めるためを目的としてきました。音楽ストリーミングを使うことは、はるかに民主的な音楽の楽しみ方です。好きなアルバムはストリーミング再生され続けるだけです。

今回の変更は、何度も再生されるアーティストやロイヤリティの高いファンを持つアーティストに優位に働くでしょう。Spotifyでもアークティック・モンキーズやThe XX、Alt-Jなど多くのインディーズアーティストでストリーミング再生が記録されています。

と、チャートの計測変更がインディーズアーティストや音楽性ある作品を作るアーティストにとってメリットになると述べています。

計算方法

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オフィシャル・チャートでは、アルバム通常版の中で最もストリーミング再生された12曲の再生回数を抽出して平均値を出し、その12曲中トップ2曲を平均値まで下げます。

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調整後のストリーミング再生回数を1,000で割り、CDおよびダウンロード、LPの売上数値を加えたのが、新しいアルバム売上データになります。この計算方法はアルバムに収録されたヒットシングルによって本来の数値が極端に変わらないようにするための処置です。

シングルチャートでは音楽ストリーミングの100回プレイを売上1トラックで計算されています。

ソース
Streaming data to sidle up to sales in the first combined UK albums chart (2/12 The Guardian)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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