EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のフェスやサービスを世界展開する、EDM専門イベント・プロモーション会社「SFX Entertainment」が、2015年度Q1決算(1-3月期)を発表しました。
SFXは大型EDMフェスティバル「Tomorrowland」や「TomorrowWorld」、「Mysteryland」(ID&T)、「Electric Zoo」(Made Event)、「Stereosonic」(Totem OneLove)などのブランドを世界展開するイベント・プロダクション会社を傘下に置いています。またオンラインストア「Beatport」などEDM関係のメディアやマーケティング会社を子会社に持つ総合EDMグループ会社で、世界的なEDMブームのビジネスに大きな影響力を持つ企業です(ライバルのライブ・ネイションも同様にEDM事業を強化中)。
Q1売上高は前年比56.6%の5220万ドルでした。営業損失は3560万ドルから2980万ドルに改善、純損失も5600万ドルから4150万ドルに改善しました。
ライブイベントの売上は全体の77%を占めて4020万ドル。SFXは1月から3月31日までの3カ月で251のフェスやイベントをプロデュースまたはプロモートしています。その動員数は75万1000人以上、1万人以上を動員したフェスを12個も運営しています。
SFXがチカラを入れているのが、イベントの海外展開。吸収したブランドを世界各地で展開して、グローバルブランドの知名度と影響力を拡げる狙いです。
またSFXは常に新しい事業や投資を行っているため、前年の業績と比較することは本当の業績を見る意味では無意味だという業界の見方があります。
例えばSFXは今年5月にブラジルのフェス「Rock in Rio」の米国展開「Rock In Rio Las Vegas」を初めてラスベガスで開催するための投資を昨年行っています。
その他のフェスブランドの世界展開での投資では、5月にはグループ会社ID&Tが運営する「Tomorrowland」をブラジルに展開、「Tomorrowland Brazil」を初めてサンパウロで開催して18万人を動員することに成功しています。また東京で初めて「Electric Zoo Tokyo Beach」を開催、1万5000人以上の来場者を記録しました。
SFXのプラットフォーム事業は全体の23%。買収したオンラインストア「Beatport」は2015年Q1でダウンロード売上高890万ドル、全体の73.9%を占めました。メディア販売およびスポンサーシップからの売上は150万ドルで12.9%、マーケティング・サービスなどの売上が160万ドルで13.2%。プラットフォーム事業はQ1売上総利益率で36.6%を達成。
3月にSFXはBeatportの音楽ストリーミングサービスを発表、2万5000以上のレーベルが参加し250万曲以上が配信される、EDM専門のサービスを展開する戦略を打ち出しています。
しかし、前年同期比のデジタル音楽売上1160万ドルから23.3%減少していることを考えれば、音楽売上の落ち込みは世界的なダウンロード減少のトレンドとも合致しています。