アメリカでユーザー規模最大の音楽サービス、ネットラジオのPandoraは、99セントを支払えば24時間広告を削除できるプラン「Pandora One Day Pass」を開始しました。

Pandoraは登録者が2億5000万人を超える巨大なネットラジオで、今週サービス開始から10周年を迎えました。現在8000万人以上のアクティブユーザーにまで成長した同社は、リスナーの好きなアーティストやアルバム、楽曲をベースに、独自の音楽データベースMusic Genome Projectを駆使して好みに合ったジャンルやスタイルの音楽ステーションから楽曲を自動でレコメンドするパーソナライズド・ラジオ・サービスを無料で提供しています。音楽ストリーミングサービスとしての主な収益源は、楽曲の合間に差し込まれる広告です。リスナーは広告を聴くか、月額4.99ドルまたは年間54.89ドルを支払って広告無しにするかを選ぶことができます。

Pandora One Day Passを選択すれば、有料会員と同じように広告が削除されるだけでなく、スキップ出来る回数も増やすことができます。支払いはアプリ内課金で請求される仕組みです。

Apple MusicやSpotifyなどオンデマンドで多機能な楽しみ方を提供する定額制の音楽ストリーミングと違い、流れてくる楽曲をストリーミングで聴くだけのPandoraには多くの機能がありません。Pandoraの差別化要因はMusic Genomeが実現するパーソナライゼーションです。しかし競争が激しい音楽ストリーミングの領域では、パーソナライズド・ラジオはApple MusicもSpotifyもDeezerも提供するほど(月額料金に含まれる)、強力な切り札というわけになりにくくなりました、注目はプレイリストやキュレーションへと集まり始めています。そこでPandoraは料金形態に選択肢を増やすことで定額制とは異なる楽しみ方を提案するつもりですが、この施策がユーザーを増やす結果につながるのか、また広告収益が中心のPandoraとブランドとの関係に変化があるのか、注目ですね。

ソース
Pandora 101: Introducing The Pandora One Day Pass(Pandora)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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