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日本でも本格スタートした定額制音楽配信の世界は、テクノロジー産業と同じほど人の動きも早いと言えます。

ヒップホップスターのジェイ・Zが運営する、高音質な定額制音楽ストリーミングサービスの「Tidal」がまたしても重役を失ったことが明らかになりました。

Tidalのチーフ・インベストメント・オフィサーVania Schlogelが同社を去ったとニューヨーク・タイムズがレポートしています。Schlogelは2015年3月にTidal(の運営会社Aspiroをジェイ・Zが買収)が本格スタートした時点では、発表イベントのMCを務めたり、音楽業界向けのイベントに登壇したり、投資家たちのカウンターパートを務めてきた人物でした。

Schlogelはニューヨーク・タイムズに対して「今後、音楽業界外の冒険に進めることにワクワクしているが、Tidalの成功を祈ると同時に、これまでTidalが引き起こしてきた対話を誇りに思っています。対話を提唱し業界への切実な思いを誇示したアーティスト一人ひとりには最高のリスペクトしかありません」と語っています。

「アーティスト中心の定額制音楽配信」と称するTidalは、ビヨンセやリアーナ、カニエ・ウェスト、ダフト・パンクなど12組以上の有名アーティストを共同オーナーとしてスタートしました。しかし、アーティストの影響力や発言力によるマーケティング活動の影で、4月にはAspiroのCEO、Andy Chenが、6月には彼の後任者のPeter Tonstadが同社を離れています。

世界中で利用が広がる定額制音楽配信の領域では、TidalをはじめSpotifyやApple Music、Google Play Music、Deezer、Rdioなど数多くのサービスが、ユーザー獲得を目指し競争を繰り広げています。

低迷するCDとダウンロードの売上から脱却するため、音楽ビジネスの世界は、定額制音楽配信を次の新たなチャンスとして注力しています。

ソース
Jay Z’s Tidal Loses Another Executive(NYTimes.com)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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