定額制音楽配信で世界をリードする「Spotify」に新たな戦力がジョインしました。元レディーガガのマネージャーとして彼女を世界的アーティストに育て上げたトロイ・カーターがSpotifyの経営に加わります。
Recodeのレポートによれば、トロイ・カーターは「グローバル・ヘッド・オブ・クリエイター・サービス」(Global head of creator services)として、ミュージシャンやソングライター、レーベルと協力しながら、オリジナルコンテンツや独占配信などにコンテンツ制作を統括すると予想されます。トロイ・カーターはアーティストマネージャーとしてレディーガガやジョン・レジェンド、メーガン・トレイナーなどのマネジメントやビジネス戦略に携わってきました。
トロイ・カーターは起業家、投資家としても活動しています。音楽マーケティングとブランディングを専門にするAtom Factoryを創業、CEO兼ブランディングエージェンシーA\IDEAや、テクノロジースタートアップへの投資を行うファンドAF Squareを立ち上げ、SpotifyやDropbox、UBER、Genius、Airbnbなどスタートアップへ投資してきました。
現在はAF Factoryで前述のメーガン・トレイナーに加えて、YouTubeでブレイクしグラミー賞にノミネートされた注目の若手チャーリー・プースのマネジメントを手がけ、常に新人クリエイターの発掘と成長に関わっています。
関連記事:音楽マネージャーのトロイ・カーター率いるAtom Factory、エンタメに特化したスタートアップ支援のアクセラレーター「SMASHD LABS」を開始
Spotifyはトロイ・カーターを迎えて、アップルのApple MusicやTIDALなどとコンテンツ面で競争を強化させることが狙いと考えられます。Apple Musicの運営には音楽業界と太いつながりを持つ元インタースコープ・ゲフィン・A&MのCEOジミー・アイオヴィンが関わり、TIDALはヒップホップ・アーティストのジェイ・Zが経営者として参加し、彼を慕うアーティストたちがTIDALオンリーの独占配信を行っています。
最も最近ではApple Musicはドレイクの「Views」やチャンス・ザ・ラッパーの「Coloring Book」、TIDALはビヨンセの「Lemonade」やカニエ・ウェストの「The Life of Pablo」を独占配信して、コンテンツ力でリスナー獲得を狙っています。
現在世界で3000万人以上の有料会員を抱えるSpotifyは、2億個以上のプレイリストがこれまで公開されるほど、プラットフォーム内での作品とリスナーの接点が拡大しています。ですが、ビッグネームの独占配信で注目と新規リスナーを集めるApple MusicやTIDALに比べると、Spotifyが独占配信で注目を集める機会はそれほど多くありません。
またSpotifyは収益の70%をレーベルや権利関係者、ソングライターにロイヤリティとして支払っています。しかしテイラー・スウィフトなど一部のアーティストはロイヤリティの不平等な分配を理由にSpotifyでの配信を拒否しています。トロイ・カーターの就任には、独自性の高いコンテンツの制作だけにとどまらず、アーティストやレーベルとの関係構築にも期待したいところです。
ソース
Spotify hires star music manager Troy Carter to help fight Apple and Jay Z(Recode)