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「Spotify」、「Apple Music」、「YouTube」、「Pandora」。音楽ストリーミングサービスの規模感が俯瞰的に見えるチャートです。参考になると思います。
「世界最大の音楽ストリーミングサービスはどれか?」というこのチャート。世界で利用するユーザー数がベースです。
ただ、このチャートはユーザー数を単純に比較しているだけで、各サービスのビジネスモデルは無視しています。ですので、多ければ強いというわけではありません。特に注目して頂きたいのは、有料会員の数です。
例えば、Spotifyはフリーとプレミアム会員のフリーミアムモデルで、有料会員数が4000万人。一方Apple Musicは有料会員のみのサービス(+3ヶ月無料)で1700万人。ですので、同じ「音楽ストリーミングサービス」の領域の中でも、ビジネスモデルもユーザー獲得の手法も全く違うのです。
ですがこの2つのサービスに共通して言えることは、有料会員モデルのサービスは、音楽業界の業績復活に大きく貢献していること。全米レコード協会(RIAA)が先日発表した2016年上半期の業界実績レポートによると、SpotifyやApple Musicなど定額制の音楽ストリーミングサービスからの収益は前年同期比112%と大幅に増加して10億ドルを突破しました(10.1億ドル、約1025億円)。
その一方でPandoraなどラジオ型音楽ストリーミングサービスはわずか4%の成長にとどまり、収益も4億300万ドルに留まります。そしてYouTube、Vevo、フリーのSpotifyなど、オンデマンドの広告型音楽ストリーミングサービスはさらに低く、1億9500万ドルという結果でした。
このチャートでは最も大きなYouTubeが、ユーザーが少ないSpotifyやApple Musicよりも、音楽業界への貢献が少ないという現状が浮かび上がってきます。
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音楽以外のコンテンツが投稿されるYouTubeは、そもそも音楽ストリーミングサービスと定義する必要があるのでしょうか?
これまでYouTubeは、レコード会社やアーティストのプロモーション用プラットフォームとして活用されてきました。ですがその裏では、音楽業界とのロイヤリティを巡る駆け引きを長年繰り広げてきました。現在、Spotifyと比較して、ホスティングサービスという名目でYouTubeは、低いライセンス料をレコード会社に支払っていることは、問題の一つです。また、現在の広告の仕組みでは、アーティストへ分配されるロイヤリティが十分とは言えないと業界やアーティストたちも反発し始めています。
アメリカではYouTubeは定額制音楽ストリーミングサービスの「YouTube Red」を昨年から始めています。このサービスを活性化させて、アーティストやソングライター、音楽業界へ収益アップを図ろうとするのがYouTubeとグーグルの狙いです。
世界の音楽ビジネスに新しい可能性を吹き込む音楽ストリーミングサービス。しかし、新しい問題も音楽シーンでは生まれ始めています。日本でも、もっと多くの人に音楽ストリーミングサービスについての情報交換が積極的に行われて欲しいと思っています。そして、機能の話だけでなく、リスナーやビジネスに対しての変化やインパクトについての会話も広がってほしいと願っています。
ソース
Chart: The World’s Largest Music Streaming Service? (Statista)、RIAA