SoundCloudの買収先に、定額制音楽ストリーミングサービスDeezer(ディーザー)が名乗りを挙げたことがNew York Postの情報で明らかになった。
2016年からSpotifyやグーグルによる買収の噂が絶えないSoundCloud。新たな買収先として伝えられるDeezerは、フランス発の定額制音楽ストリーミングサービスとして、SpotifyやApple Musicの後を追っている。Deezerは世界180カ国以上に展開しているが、日本には未だ上陸していない大手サービスの一つだ。
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Deezerの運営は、メジャーレーベルのワーナーミュージックの親会社である投資会社Access Industriesが主導権を握っており、投資家Len Blavatnikはワーナーミュージックの会長でもある。
ベルリンのSoundCloudは、1億7500万人以上の月間ユーザーを抱える巨大な音楽コミュニティに成長したが、プラットフォームとしてビジネス面での成長に苦戦している。昨年はTwitterから7000万ドルの資金を調達、今年も7000万ドルをデットファイナンス(負債による資金)で調達するなど、資金調達は活発だが、これは身売り先が決まらず、経営維持が困難なサインだと言われている。
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情報ソースによれば、Deezerは買収を検討する企業の中でも最も興味を示しているとされ、「もしDeezerまたはSpotifyの立場なら、大規模な統合が期待できる。SoundCloudの巨大なユーザーベースは、有料会員に誘導できるはずだ」と伝えている。
Spotifyはこれまで有料会員を5000万人以上集め、この業界をリードしている。一方アップルは、Apple Musicの有料会員が2700万人を超え、2015年の開始時から急ピッチで業界の2番手に名乗りを上げた。
Deezerは、2006年の創業とSpotify(2006年創業、2008年サービス開始)と同じだが、現在は有料会員数が600万人規模とSpotifyの約1/8ほどにとどまっている。仮にSoundCloudを買収できれば、Deezerのプレミアムサービスへのコンバージョンに期待が高まる。
またSoundCloudはアーティストにとってユニークな存在で、常にファンと直接インタラクションができるコミュニティ化している。新曲をテストマーケティングする場合や、全世界に向けてアーティストやレーベルが曲を紹介する場合に、仲介業者を介することなく、コンテンツを提供できるからだ。
問題となるのは、SoundCloudの収益モデルが未だに確立されていないことで、有料サービス「SoundCloud Go」は現在も大きな収入源とはなり得ていない。またSoundCloudにユーザーからアップされるコンテンツのライセンス問題も、今後解決しなければいけない課題の一つで、Deezerなり買収先はレーベルとの交渉や調整が必要となっていくことは確実だ。
ソース
Music streamers express interest in SoundCloud deal (New York Post)