ワーナーミュージックは、アメリカのニューヨークを拠点にするインディーレーベル「12Tone Music」の資産を買収したことを発表しました。

12Tone Musicは2018年設立と歴史の短いレーベルですが、ユニバーサルミュージックとソニーミュージック・エンタテインメント、ワーナーミュージックのメジャー3社でトップを務めた音楽業界のベテラン経営者、ダグ・モリス (Doug Morris)がインディーアーティストをリリースするために設立したレーベルとして業界で知られてきました。契約は7月中に完了予定。

12Tonesの運営は引き続き、モリスと元デフ・ジャム・レコーディングスCEOのスティーブ・バーテルス (Steve Bartels)によって共同経営されます。

12Toneは、ワーナーミュージック傘下のインディーレーベル向けディストリビューター/レーベルサービス「ADA」と契約して世界配信してきました。

また設立以来、Apple Musicからレーベルおよびアーティストのマーケティング展開の支援を受けています(12Toneに出資はしていない)。

12Toneが一躍有名になったのは、グラミー賞を4度受賞したアンダーソン・パークの作品(ユニバーサルミュージックのレーベルAftermathとの共同契約)をリリースしてきたからです。

またアジア系ヒップホップレーベル兼マネジメント会社の88Risingと契約を交わし、JojiやJackson Wang、Rich Brian、NIKI、Higher Brothers,Stephanie Poetriの作品を立て続けにリリースしてきました。

12Toneはまた、ダンスミュージックのスタープロデューサーであるILLENIUMと2020年に契約を交わし、最新アルバム『Fallen Embers』を7月にリリースしました。ILLENIUMは音楽ストリーミングの再生数は5億以上を超えるほど世界的な人気を誇ります。

この他に契約するのは、クリスチャンミュージックの若手シンガーソングライター、ローレン・デイグル(Lauren Daigle)、ヒップホップとエレクトロニックミュージックのハイブリッドな音楽をリリースするカリフォルニア出身のNEFFEX (Bryce Savageのソロプロジェクト)、R&BシンガーソングライターのRaveenaと、ジャンルも背景も様々な多様性あるインディペンデントアーティストが12Toneには集まっています。

12Tone Musicの評価においては、アーティストとの契約だけでなく、作品レベルでの成功を実現する戦略も無視できません。

例えば、アンダーソン・パークのアルバム『Ventura』は、米国Billboardアルバムチャートで4位となり、これが彼の作品では初めて米国アルバムチャートのトップ10入りを果たした作品で、その後も世代を代表するスターアーティストへ成長を続けています。『Ventura』は第62回グラミー賞で最優秀R&Bアルバム賞を、「Come Home” (featuring André 3000)」で最優秀R&Bパフォーマンスを受賞し、世界的な評価を得ました。12Toneは『Ventura』と前作にあたる『Oxnard』をAftermathと共同リリースしてきました。

12Tone MusicとCentricity Musicが共同リリースした、ローレン・デイグルのアルバム『Look Up Child』(2018年)は、第61回グラミー賞で最優秀コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック・アルバムを受賞した他、米国Billboardアルバムチャートでは3位に入り、女性クリスチャン・ミュージック・アーティストとして1997年以降最上位にチャートインしたアルバムになりました。(1997年LeAnn Rimesの『You Light Up My Life』が1位を獲得して以来)。

2020年10月には、88RisingのJojiのアルバム『Nectar』が、Billboardアルバムチャートで3位、オーストラリアのARIAアルバムチャートで1位、イギリスのアルバムチャートで6位を獲り、Jojiの人気が世界に広がっていることが示されました。

さらには2020年には、Butterfly Recordsとの共同リリースで、カントリーミュージックの大御所アーティスト、ドリー・パートンの『A Holly Dolly Christmas』をリリース。同作はBillboardカントリーアルバムチャートとホリデー・アルバムチャートで1位しています。

そして、同時期には、Billboardインディペンデント・アルバム・チャートで1位をJojiの『Nectar』、2位がパートンの『A Holly Dolly Christmas』を占めるという、インディーレーベルでも稀なチャート上位2スポットを12Toneの作品が独占しました。これは12Toneが異なるジャンルの作品も成功に導けるというレーベルの影響力を示します。

12Toneが手掛けるインディーアーティストやレーベルの作品は、実績を見れば、メジャーレーベル契約アーティストに匹敵、もしくはそれ以上の成功を収めているように、音楽業界でトップクラスに成長するアーティストやレーベルと契約してきました。多様なインディーアーティストを成功させてきた高い成果は、カタログ音源の権利を獲得するワーナーミュージックにとって長期的な価値の創出に繋がります。

source:
Warner Music Group Warner Music Group Acquires the Assets of 12Tone Music


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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