ダフト・パンクのトーマ・バンガルテル(Thomas Bangalter)が、音楽ストリーミングサービスのスポティファイで自身がセレクトした楽曲のプレイリストを公開しています。

人が音楽をキュレーションするアプローチは、検索エンジンで音楽を探すより、機械的レコメンデーションが表示されるアルゴリズムより、音楽を身近に感じやすくしてくれるのではないでしょうか? 特にその相手が自分の知っている友人知人だったり、自分が好きなアーティストの場合なら、より一層セレクションへの関心が喚起されて、音楽への共感度は高まると感じます。スティーブ・ジョブズのiPodの中身が気になるみたいな感じで。

プレイリストに話を戻すと、「Random Access Memories」でのコラボレーターの作品も幾つか含まれています。ファレル(N.E.R.D.)、ナイル・ロジャース、ジョルジオ・モロダー、Panda Bear (Animal Collective)など。しかもどの人も歌も歌えて作曲もできて楽器もひけて、ジャンルをまたぐタレントばかり。もしかするとこの中の人と将来はコラボレーションがあるのかもしれませんね。

Chic – ‘Good Times’
Phoenix – ‘The Real Thing’
The Strokes – ‘Tap Out’
Carly Simon – ‘Why’
Animal Collective – ‘My Girls’
MGMT – ‘Electric Feel’
Giorgio Moroder – ‘Tears’
Jai Paul – ‘Jasmine’
Giorgio Moroder – ‘Chase’
Chilly Gonzales – ‘Knight Moves’
NERD – ‘Hypnotize U’
Sister Sledge – ‘He’s The Greatest Dancer’
James Blake – ‘Retrograde’
Bon Iver – ‘Woods’
Diana Ross – ‘I’m Coming Out’
Panda Bear – ‘You Can Count On Me’
UR – ‘Amazon’
Bernard Hermann – ‘Taxi Driver’
Paul Williams – ‘Bugsy Malone’
Jackson 5 – ‘I Want You Back’

アーティストが聴いている楽曲が実際に共有できるのは、以前は考えられなかったことですが、リスナーとしてはアーティストを身近に感じられて嬉しいことです。この「プレイリストを公開する」という行為は、Facebookページにアーティストが投稿したり、Instagramで写真をアップしたり、Vineで動画を撮影することと同じアプローチです。ファンへ音楽を届けやすくするだけでなく、アーティストへの関心興味も高まり、親近感を抱きやすくさせてくれます。

「ダフト・パンクも僕と同じ曲を聴いていたのか」と気づいただけでも、彼らに対する考えが少し変わり、そしてその曲に対するイメージも変わります。人から人へと伝わる情報には、信頼性や意外性が加わり、人によってその情報の価値も変わります。音楽もただ聴くだけでは、個人の印象には残りません。情報が溢れかえる時代の今、「〇〇が聴いている音楽」を聴くこと自体が音楽体験になり、リスナーはその体験をすることが重要になっていくと思います。これからは音楽サービスに人間による音楽キュレーションのアプローチをどれだけ取り込み、音楽体験を作れるかがリスナーが喜ぶ価値の提供につながっていくはずです。

ソース
What does Daft Punk listen to? Here’s your answer.(8/28 Consequence of Sound)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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