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20年ぶりに新アルバム『永遠/TOWA』(The Endless River)をリリースしたピンク・フロイドのドラマー、ニック・メイソンがGQ UKのインタビューで、現代の音楽ビジネスについて語っています。その中で昨年アップルとU2が実施した無料ダウンロードとそのキャンペーンが何を暗示しているのか、を答えています。

インタビューでは、もしピンク・フロイドがアップルからアプローチされたら、やらない理由はないと答えながらも、リリース手法の失敗によって多くの音楽ファンの怒りを買ってしまったと述べます。

あのようなひどい結果を眺めているのはとても興味深いものがある。まず私の立場を明確にしておきたい。もしアップルが私のところに来て「5000万ポンドを支払うからアルバムをリリースさせてくれないか?」と聞いたら、私はこれ以上に良いアイデアはないと思うよ。数年前にレディオヘッドも同じことをやったよね。そして成功した。

だけど今回は期待外れに終わった。キャンペーンによって人は音楽の受け取り方、リリース手法、販売方法について再び疑問を持ち始めた。U2は素晴らしいバンドで、ボノは賞賛に値する人物だ。これはアンチU2的な批判じゃない。だけどこれは21世紀における音楽の構造で重要な点を浮き彫りにしてくれた。アップルが非難を浴びてなさそうなことも興味深いね。だれもアップルに責任を追及しようとしていない。アップルはこれまで素晴らしい功績を残してきたが、音楽の価値低下にも影響を与えてきた。だがiTunesもすでに過去のモノになり始めた。その代わりにSpotifyに未来を感じる。あと20〜30億人ユーザーを増やせれば、ミュージシャンにも理解されるだろう。

今はロイヤリティ料支払い、特に全く無名や少しだけ人気のミュージシャンにとっては、悲惨な状況だ。ピンク・フロイドは「そんなやり方だったらやらない」とは言っていない。私たちはストリーミング配信はする。だけどより高音質でストリーミングするし、動画や映像を数多く入れてより完全なエンターテインメント体験を提供するだろう。

多くのレコード会社やコンテンツホルダーが音楽コンテンツの配信方法でかつてのようなリーチが実現できなくなっている中で、メイソンのように音楽ストリーミングに注目する人は世界だけでなく日本でも増え始めています。

しかしSpotifyの課題の一つとしてさらに規模拡大が必要で、十分なペイアウトが得られないと無名のアーティスト達が音楽で生活できなくなるため、これを危惧する業界から理解を得ることが難しいという意見があります。

ピンク・フロイドが久々にリリースしたアルバム「The Endless River」は2014年の英国アルバム売上年間チャートで9位に入るほど人気を集めました。一方U2の「Songs of Innocence」はトップ40入りも果たしていません。ちなみにどちらのバンドもSpotifyで音源を配信しています。

しかしメイソン本人が語るように、Spotifyなど音楽ストリーミングが次の希望の星かもしれないが、現状のビジネスモデルでは知名度の低いアーティストには現実的ではないという点については、今後Spotifyなどの企業がどのような分配方式を導入していくかにもかかります。これからは、メイソンのように、ストリーミング肯定派ながらもロイヤリティ分配には苦言を示すお目付け役的なアーティストが声を上げてくれることが重要になっていくと、音楽サービスとアーティスト・ソングライターの関係がより透明になっていくのではないでしょうか。

ソース
Video: Nick Mason tours Pink Floyd’s seminal locations in a Ferrari California (GQ)

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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