音楽共有プラットフォームSoundCloudがいよいよサブスクリプション型サービスを今年後半に開始すると、共同創業者でCTOのエリック・ウォールフォース (Eric Wahlforss)がウォール・ストリート・ジャーナルに答えました。
「音楽のYouTube」と呼ばれてきたプラットフォームSoundCloudは、これまで大きなマネタイゼーションの戦略は打ち出していませんでした。サブスクリプション型サービスに本格参入する裏側には、長年に渡って権利関係者にロイヤリティが分配されてこなかったことへの非難の声が広がり、ソニー・ミュージックが一部のアーティストの楽曲を取り下げるなど、収益源拡大をレコード会社や投資家から迫られてきたことがあげられます。
ウォールフォースはサブスク型サービスはいつ、いくらの価格で始まるのか、また権利保有者との分配比率について発言は避けています。
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SoundCloudの契約書がネットでリーク。音楽出版社への分配額や有料プラン戦略の存在が筒抜けに
今年6月にSoundCloudが音楽出版社との間で交わされる契約書がネットでリークされたことで、サブスクリプション型サービスのプランについても概要が明らかになっています(ただしこれが最終形ではない)。
リークされた文書から見えてきたのは、SoundCloudは有料サービスに3つのオプションを用意していることです。一つは広告付きの無料オプションで、利用中は広告が挿入され、毎月聴ける曲やダウンロードできる回数が制限される模様です。
2つ目の有料オプション「SoundCloud Full Catalog Subscription Service」は、広告が無くなり、楽曲へ無制限のアクセスが可能になります。
SoundCloud上には1億7500万人のユーザーに加えて、1億曲以上の楽曲がアップロードされており、DJを中心にリミックスやエディット、ミックスがアップされています。しかしSoundCloudでは誰でも曲をアップロードできるため、許諾を得ていない楽曲の処置に対してレコード会社から削除依頼のクレームが後を絶たず、SoundCloudでは楽曲利用の問題に対してもプレッシャーをかけられてきました。
今年4月SoundCloudはYouTubeが導入しているコンテンツID管理ソリューションを提供する企業と提携を結び、著作権侵害のグレイゾーン問題を解決する準備を始めました。
これまでは自由に曲がアップできたり聴けることから人気を集めてきたSoundCloudが優良にシフトすることになると、大きな不満が世界中から発生するでしょう。ですがアーティストの作品に対して対価が支払われないことも大きな問題です。優良オプションへの移行が成功しなければ、権利保有者やレコード会社にとっては届けたい音楽を聴いてくれるユーザーが居なくなるために将来的なビジネスの機械損失にもつながります。しかもSoundCloudは有料会員でユーザーを増やし続けなければなりません。つまりSoundCloudのサブスク戦略は、これまで獲得してきたユーザーの大部分を失う可能性を抱え、また新規ユーザー獲得でも悩まされるリスクにつながるかもしれません。
ソース
SoundCloud Plans a Subscription Service to Access Its Music(WSJ)