音楽共有サービス「SoundCloud」が音楽パブリッシャーに提示している契約書がネットでリークされています。
ベルリンを拠点にするSoundCloudは違法にアップロードされるコンテンツの数を減らし、レーベルや音楽出版社にロイヤリティを分配しながら、利益を上げるための戦略を進めているようです。
SoundCloud NMPA Umbrella Agreement by Paul Resnikoff
SoundCloudは広告を含む売上の10.5%、または録音物の権利からの売上22%の高い方を権利者に支払うと契約書では示されています。また最恵国待遇(Most favored nation)が契約に盛り込まれているため、どの独立系パブリッシャー団体でも、SoundCloudが契約するパートナーが受け取る分配の最大額を自動的に受け取ることができる内容になっています。例えばソニーミュージックがSoundCloudから100万ドルを受け取り、インディーズ団体への分配が60万ドルだった場合、SoundCloudがインディーズ団体に補填として40万ドルを支払う契約です。
また契約書では、広告付きの無料オプションに追加する形で、新たな有料プラン2通りを提供する予定があることも示しています。
一つ目の有料プランは「Additional Services」と呼ばれ、ユーザーがオーディオや映像を広告無しで視聴でき、また無制限の量の音楽をダウンロードが可能になるサービスです。レコード会社はユーザー1人に対して毎月0.18ドルを受け取る予定ですが、それももし売上や録音物の権利からの売上が下回った場合のみに適応されます。しかしAdditional Serviceでは、SoundCloudが提供するカタログの一部しかアクセスできません。
もう一つの有料プランとされる「SoundCloud Full Catalog Subscription Service」では、フルのカタログにアクセスが可能になります。上記と同じ売上高または権利からの売上が得られない場合に、レーベルへはユーザー毎に0.80ドルが支払われます。
さらに、契約書ではSoundCloudは独立系音楽パブリッシャー団体に対して35万ドルのアドバンスを支払う内容が盛り込まれています。35万ドルは、インディーズ系楽曲がSoundCloudで再生された割合に応じてパブリッシャーが分配します。
これらの同意の下でSoundCloudは広告付きのフリーサービスを提供し続け、フリートライアルを利用する範囲内ではロイヤリティは分配しません。
このリークされた契約書は、まだどの団体も署名したものではないものの、独立系音楽パブリッシャーに対するSoundCloudのアプローチが事細かく記されています。5月にSoundCloudはアメリカの音楽パブリッシャーを代表する業界団体の最大手「National Music Publisher’s Association」と契約を締結したばかりで、合法的なライセンス契約を結ぶために動いています。
音楽スタートアップは、「音のYouTube」と呼ばれるほど、クリエイターたちが作った音楽やビート、リミックスなどを自由に公開し、ファンへ音楽を届けてきました。しかしその中には著作権を侵害するコンテンツも含まれていることが、レーベル側から長年懸念されてきました。
SoundCloudは合法なコンテンツを配信するためのライセンスを獲得して、レーベルやパブリッシャーへのロイヤリティ分配のシステムを構築するため、昨年にようやく広告戦略を開始して、マネタイゼーションの機会を増やす考えでした。しかし予想以上にレーベルとの交渉が長期化し、完全な合法化への移行は難航しています。先月ソニー・ミュージックはSoundCloudから所属アーティストのコンテンツを削除し始めました。
ソース
Leaked Contract Shows SoundCloud’s Plans For Ad-Free Subscriptions And Paying Labels(TechCrunch)