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先頃アップしたポストでグーグルが目指す「デジタル・ロッカー型音楽サービス」(Digital Locker)について言及した。iTunesのデジタルストアやストリーミングラジオとも異なるこのサービスモデルとは一体何か? 過去記事を読みながら掘り下げて分析してみました。補足:概要が長くなりましたので、モバイルとソーシャルについては「その2」で書きます。

まずは9月14日Billboardの記事。細部にいたるまでサービス内容の全貌が初めて明らかになりました。

以下は記事の抄訳です。

グーグルは大手レコード会社に対して、デジタルダウンロード・ストアと購読型クラウドベースの「ロッカー」で構成される、予想されていた音楽サービスについて提案を行っていると業界に詳しい情報ソースが伝えています。

サービスでは年間25ドルで音楽ファイルをロッカーに保存することができ、インターネット接続されたデバイスへ音楽をストリーミングまたはダウンロードすることが可能になります。

グーグルのロッカー購入者(locker subscribers)はダウンロード購入した音楽ファイルを直接クラウド上のアカウントへ転送するオプションが利用できます。

ロッカーはまたソーシャル機能を搭載しており、ユーザーはプレイリストを他のロッカー購入者に送信したり、音楽ファイルを視聴できる権限を提供することが可能です。グーグルはクラウドのロッカーから楽曲を再生できるウェブベースの音楽プレーヤーとモバイル・アプリケーションを提供します。

グーグルはレコード会社に対して当初、各市場ごとに3年間のライセンス契約を結ぼうとしています。しかし、情報ソースは、同サービスがどこで何時から開始されるのかは不明と述べています。

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以上がグーグルが提示する「デジタル・ロッカー型」サービスの概要です。この記事はかなり詳しい内容に迫っているので、情報源は内側の人間ではないかと思ってしまいますが、それはさておき。

一言でまとめると、コンテンツ向けクラウドのストレージです。グーグルの競争力はおそらくストレージ容量の大きさと、カタログ化および検索機能かと思います。音楽ストリーミング向けクラウドサービスでは、「Grooveshark」や「Audiogalaxy」、「Unifi」があり、最近では「mSpot」に可能性を感じます。mSpotにご興味のある方は、jugglyさんのまとめをご覧ください。すばらしい。
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記事は他にもグーグルの考えについて説明します。例えばグーグルはコンテンツ権利者と定額サービスの収入を50対50で微集分配し、音楽出版社がシェア10.5%を提供する仕組みを提案しているそうです。またグーグルはロッカーに保存された音楽ファイルを読み込み、ライセンスが供与されたファイルはユーザーがクラウドのアカウントからアクセスができるよう(検索しやすいように)リスト化します。これらのファイルはグーグルのダウンロードストアで販売する音楽ファイルに加え、その他のストア、CDからリッピングされた音源、さらにはP2P(ピア・ツー・ピア)サービスからダウンロードしたファイルも含まみます。

そして11月24日New York Postの記事。記事は音楽サービスの提供がクリスマス時期に間に合わないという内容で、ここでグーグルが目指す「Digital Locker」、デジタル・ロッカー型サービスの話題が再び浮上してきました。

以下は記事の抄訳です。

大手レコード会社は、リスナーが音楽コレクションを保存し、どのデバイスからでもストリーミングで楽しめる『デジタル・ロッカー(digital locker)』サービスという未知の領域に踏み込むことに躊躇しています。大きな懸念は、ユーザーが合法な音楽ファイルとともに違法な音楽ファイルまで保存できることが挙げられます。グーグルはデジタル・ロッカー型サービスへのストリーミングの許可に加え、検索エンジンと連動する音楽ダウンロードストアに関する契約の締結を求めています。

レコード会社は音楽ダウンロードには抵抗を感じませんが、『クラウド』ベースのストリーミングサービスには二の足を踏んでいます。ある企業のシニアレベルのマネジメントは、「レーベルは音楽ダウンロードを展開することを計画しているが、『ロッカー』サービスに関する情報が提供されておらず、さらにグーグルはその両方を連動させようとしていることが、サービス提供が先延ばしになっている理由だ」と説明しています。また、「デジタル・ロッカー」サービスの広告モデル、およびアーティストへの支払いについては疑問があります。

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上記が現状の情報です。技術的な革新は大きい。ですが、音楽業界さらにはビジネスにとっての価値がグーグルとレコード会社の間で共有できていないことが停滞の原因です。音楽業界の消極性か、グーグルのコンテンツビジネスでの経験不足か、どちらに問題があるにせよ、一番損をしているのは音楽ファンではないでしょうか?

なぜ大きく取り上げられたか? 自分が考えるには、現在業界には、mp3ロッカーで法廷闘争を繰り広げるレコード会社のEMIと音楽サービスのMP3Tunesの存在があり、11月に新たな動きが起こり、大きな影響を与えていると推測します。こちらの訴訟に見通しが立たない限りレコード会社は簡単にサービスを容認することは難しいと思われます。
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今でも問題はありませんが、現行の収益モデルに固執しているため、コンテンツ配布やユーザーへの価値提供へ向けた新たな取り組みを鈍化させている業界には不満を感じます。そこにはビジネスチャンスがあると思うのですが、新たにDRM付きの音源のような結果にならないことを望みます。

最後に上記の記事では、音楽業界に詳しい人物が、「『デジタル・ロッカー』サービスはフォーマットの変化を意味します。レコードがカセットに、カセットがCD、CDがデジタルファイルに変化したように、これからはクラウドでデジタルファイルを転送しアクセスできるようになるでしょう」と述べています。ですので、近い将来大きな変化が産まれることは間違いないと信じています。

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。みなさんのご意見を聞かせてください。ヨロシクお願いします。

デジタル・ロッカー型サービスのモバイル性、ソーシャル性については、「その2」に書きます。

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ソース

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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