明けましておめでとうございます。昨年はこのブログをお読みいただきありがとうございました。また、TwitterやFacebookなどを通じてご意見を頂く機会がふえたことも、とてもうれしく思います。今年も音楽とユーザーを取り巻くインターネット企業の動向から、海外サービスやスタートアップ、ソーシャルメディアを活用したPRやブランド戦略を幅広くご紹介しながら、インターネットが与える影響への期待感で満ち溢れている極めて破壊的なデジタルミュージックとその可能性をみなさんの力を借りながら、このブログで情報交換して行きたいと思います。2011年もどうぞよろしくお願いいたします。
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年末に読んだ記事に2010年のデジタル音楽環境をまとめた記事をいくつか目にしました。その中でも、音楽ビジネスニュース Music Alley が発表した2010年の業界トレンドを総括したレポート『Trends of 2010』トップ10は、2011年以降に一般化すると思われるテクノロジーを網羅しており、合致していると感じたので、それぞれを抄訳でご紹介します。

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トレンド 1:成長と衰退
音楽業界は急激な落ち込みを迎えているのか?それとも着実に成長しているのか?現実にはその両方が起きている。日本やスペインからは軽視できない数値が示された反面、トレンドに後押しされた英国やスウェーデンの成長も注目に値する。
成長
  • 米音楽購入が増加とニールセンが発表
  • スウェーデンの音楽売上が10.2%増加
  • 音楽売上、ゲーム・DVD売上に比べ経済低迷の影響は小規模
  • デジタル音楽アルバム販売が英国で急拡大
  • ユニバーサル・ミュージックの第3四半期収益が増加
  • 2009年英音楽売上が1.4%向上
衰退
  • 2009年の米音楽購入者は2400万人減少
  • 2009年のグローバル音楽収益は7.2%ダウン、IFPI (国際レコード産業連盟)発表
  • 日本音楽業界は減少傾向
  • 米音楽アルバム売上は「継続的な減少」
  • スペインは2010年前半に音楽海賊行為による52億ユーロの損失
  • 米ダウンロード売上がフラットに
  • ワーナー・ミュージック、デジタル音楽の低迷で収益に影響
幾つかの反論しがたい結論が証明された。例えば、スペインの音楽市場や日本のモバイル市場の低迷、そしてデジタル音楽売上の増加は、(a) CD売上低迷の解決策には成り得ていない、(b) いくつかの市場は飽和状態であることを示している。しかし、過剰な一般論は危険を招く。TuneCoreのボスであるJeff Priceは「より多くのミュージシャンが現在、史上最も音楽で稼いでいる」と上記の懸念とは相いれない主張を述べたブログを公開した。
スウェーデンは特出した存在であり、もしかするとその他の市場の模範となるモデルかもしれない。2009年の売上10.2%増加は、デジタル音楽の売上98.6%増加によるものであり、全体の売上の16.3%を占める。デジタル売上において音楽ストリーミングは2008年の17%から2009年には46.1%まで増加した。これは、音楽ストリーミングは音楽の海賊行為以上に合法的な音楽販売を減らすという主張に反対する結果となった
アーティストではデジタル分野で断トツの勝者が出現した。レディー・ガガはYouTubeで再生回数が10億回を超えた(ジャスティン・ビーバーがすぐ後に続く)。Black Eyed PeasとKings of Leonは米国および欧州のデジタルダウンロードの新記録を樹立した。ビートルズはiTunesに登場後、わずか数日で200万ダウンロードを達成した。
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音楽販売はアップルやアマゾンの音楽ストアが2009年よりさらにシェアを伸ばす反面、大手レコード会社やメディア会社の売上にとってはアルバムダウンロード販売が鈍化、シングル売上も低迷、コンサート市場も見通しが危ないと直面してきました。しかしYouTubeが黒字に転換すると予測されたり、より多くのアーティストがFacebookやTwitterを通じて自らの言葉でコミュニケーションを取ろうとする試みが増えるなどなど、CD販売やライブ活動以外での動きが活発化しました。さらにソーシャルメディア、モバイル、ストリーミングなど、テクノロジーとの統合を進める企業やサービス(MTV、Vevoなど)が増えたこともあり、ユーザーの選択肢が大きく拡大した年でした。
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image via WSJ.com

2011年はソーシャルネットワーキングの効果により、より多くの人が音楽を体験する機会が増えると信じています。さらに既存のサービスに対する付加価値の追加が増えるのではないでしょうか。例えばYouTubeやiTunesでも新しい取り組みが始まるかも知れません。そしてレディオヘッドの新アルバム販売戦略や有料会員制サービスや課金システム、Glow!などソーシャルパトロンサービスなど、これまでは存在しなかった高品質かつ破壊的なサービスがより身近になるのではないでしょうか。新しい価値観を生み出す環境に期待が高まるばかりです。長くなりましたが、どうぞよろしくお願いします。

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Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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