SoundCloudではクリエーターが音楽コンテンツを簡単に録音、投稿、シェア、プロモートでき、音楽ファンは発掘、再生、シェア、購入、ダウンロードすることが可能です。SoundCloudはこの流れを一つのサイト内だけでなく、様々なツールなSNS内で実現でき ユーザーに最適化した選択肢を提供します。自分に適応したフローの中で音楽を提供/体験することで、SoundCloudコミュニティ、ソーシャルグラフ、インタレストグラフから好きな音楽や新たな発見からつながる「ソーシャルネットワーク」を形成できる楽しみが、成長の理由かと自分は考えます。
最近はDIY系音楽クリエーター以外にも、大物アーティストやレコード会社、更には大手オンラインメディアやトーク番組、企業団体のポッドキャスト等オーディオが含むコンテンツが多様化してきています。同社CEOのAlexander Ljung氏(アレキサンダー・ヤング)は、将来的にウェブの世界では「オーディオ」が動画よりも大きな存在になると昨年行われたカンファレンスで語っています。
ビジネス開発マネージャーのDavid Adams氏がSoundCloudを活用して音楽ファンとコミュニティへ音楽を2011年の音楽プロモーションキャンペーン事例を総括した記事をブログで公開しているので、抄訳でご紹介します。長文ですので、月ごとのテーマを以下にまとめてみました。
1月:オーディオダイアリー、2月:インタラクティブパズル、3月:クラウドソーシング、4月:ウェブアプリ「Takes Questions」「Premiere」、5月:画像、6月:SoundCloud Impoter, 7月:Social Unlock, 8月:ウェブアプリ「Competition」、9月:位置情報、10月:モバイルアプリ、11月:インタラクティブオーディオマップ
1月
英国の
白人ラッパーのExampleことElliott Gleaveや
米国バンドのYacht(ヨット)がツアーの様子やバンドの裏話をラジオ番組風に語るオーディオ番組を公開しました。
Exampleのトーク番組「CodPast」はツアー中のバンドメンバーやゲストアーティストを交えて、裏話や発表予定のアルバムの制作について
30分ほどゆるく語る形式で、「米国からもダウンロードされてたし、変わった場所で言えばウズベキスタンやヨルダンからもDLされてたな」と番組中で言っていす。
情報配信がどの程度リーチしたかを正確に測定できる点も、オンライン戦略には効果的ですね。(SoundCloudにはDLやコメントを管理できるツールも提供されます)。
Heapはファンとコラボした曲作り(+動画、アートワーク)をシリーズ「Heapsong」として発表しており、これらの曲は2012年発売のアルバムに収録されるそうです。また50セントは
自身のコミュニティサイト「Thisis50.com」で以前にもSoundCloudを利用したリミックスコンテストを開催(1,500件ほどの応募)したり, 投稿された音源やアーティストを数百万PVを持つサイト上で公開するなど、テクノロジーの連携活用に積極的なアーティストの1人です。
ソーシャルメディアや自身のウェブサイトで精力的に情報配信とファンへのコミュニケーションを積み重ねてきたHeapと50セント。 オンラインでつながるコアなファンとの強いつながりから相乗効果を生み出した素晴らしい取り組みだと思いました。
4月
5月
投稿されるのは夜中の2時の写真限定(アルバムのコンセプト)と特別な時間帯に設定したことで、投稿写真を見ながら自分と同じ世界各地のファンの思いに視覚的に共感しやすくなりそうです。
またビョークは新アルバム「Biophilia」発表に向けて、
自身のサイトをリローンチし、SoundCloudを活用したインタラクティブなHPで新曲のプレミア配信を開始しました。
6月
バンドはPVのプロモーション用にある電話番号をビデオ内に隠し、見つけたファンが電話するとデイブ・グロールのスペシャルメッセージが聞け、さらにファンもバンドにメッセージを残すことができるプロモーションを行いました。さらにバンドは設定した電話やeメールへのメッセージを簡単にオーディオへ変換できる
SoundCloud Importerを使い、印象的なメッセージ20選をSoundCloud上で発表するという粋な計らいを魅せてくれました。
7月
8月
SoundCloudは
「Competition App」をローンチしました。米
ヘビメタバンドのMastodonは新アルバム「Hunter」のプロモーションに、同アプリを利用して音楽ファン特にミュージシャンに挑戦するコンテスト「Curl of the Burl #Competition」を行いました。これは、SoundCloudからギターまたはドラム無しの楽曲をダウンロードしてもらい、ファンに自身の演奏をミックスしたバージョンを投稿してもらうコンテストで、勝者にはSoundCloud1年分有料アカウントなどが贈呈されました。ちなみにMobyも同アプリを利用し、
Destroyed.のリミックスコンテストを実施しています。
9月
10月
11月
地図上の街をクリックすると、アーティストの音楽や写真、動画がポップアップで閲覧でき音楽が再生できる仕組み。
12月
いかがでしたでしょうか。ここにあるキャンペーンではSoundCloudで音楽を公開配信するだけでなく、様々なウェブサービスとの連携した取組みが数多く見られます。また目的に応じてファンが楽しめる仕組みの構築においても、革新的な機能が上手く活用されています。(SoundCloud API, Social Unlock, Premiereなど)
そして50セントやMoby、ビョーク、フーファイターズなど大物アーティストがSoundCloudを利用し始めたことは、これまでは欧州のアングラ系エレクトロニックプロデューサーやDJの間で人気だったサービスが、世界規模で別の音楽ジャンルにも広がり始めたことを示しています。SoundCloud的にはジャンルへのこだわりは無いと思いますが、新たなユーザー層で利用が増えユーザーに価値が提供できることはコンテンツ配信共有サービスにとってはうれしいことだと思います。
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