音楽ビジネスの業界団体「IFPI Norway」(International Federation of Phonogram and Videogram Producers)が発表したノルウェーの2012年度の音楽売上では、フィジカルの売上をデジタルが上回り、音楽ストリーミングサービスによる売上が業界全体の売上を後押ししていることがはっきりとわかりました。
2012年にノルウェーの音楽売上は2011年から7%上昇し5億4530万クローネ(約9840万ドル)となりました。
CD(アルバム、シングル)、音楽DVDを合わせたフィジカルの売上は、2億1020万クローネ(約3790万ドル)で、2011年から19%減少しました。
一方、デジタル音楽の売上は3億3510万クローネ(約6040万ドル)で、2011年から35%増加しました。
2011年のフィジカル・デジタルのシェアは、フィジカル51.2%とデジタル48.8%でした。2012年は、フィジカル38.5%とデジタル61.5%で景色が完全に変わりました。
2012年売上のシェアは、音楽ストリーミングサービスが全体の45%(2011年は32%)、ダウンロードが16%(2011年は17%)、フィジカルが39%(2011年は51%)となります。
IFPI Norwayのマルテ・トーンビイCEOは、「2012年はノルウェーの音楽市場、2004年以来8年ぶりに成長を遂げました」と述べています。
驚異的なのはサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスで、2012年の売上は1億8920万クローネ(約3420万ドル)で驚異的な216%の成長を遂げました。この売上額はフィジカルの売上に匹敵するほどの額で、成長スピードは未だに続けている分野です。
ノルウェーにはSpotifyのほかに、Rdio、Deezer、WiMP、Music Unlimited、Xbox Music、Rara.comのサブスクリプション型音楽サービスが存在します。
音楽ダウンロード販売は8870万クローネ(約1600万ドル)で、2011年から6%成長しました。
音楽業界にとってはノルウェーの状況は、今後の音楽ビジネスの成功事例の一つとしてモデルケースにできると思います。最も顕著に現れているトレンドはこちらになるでしょう。
1. 音楽ストリーミングサービスの価値
フィジカルの売上を食ってしまうと言われていたサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスが、実際にはフィジカルの損失を補完しデジタル音楽が中心の音楽シーンを形成する要因になっています。CDやDVDの売上が低下したり違法ダウンロードなどの問題があり売上が年々落ちていた状況が続いていた中、デジタル音楽が確実に浸透する環境を音楽サービスを使って(ノルウェーの場合は音楽ストリーミングサービス)築いてきた戦略は参考にできるとおもいます。特にレコード会社や出版関係にとっては大きなビジネスのヒントになるのではないでしょうか?
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