米Amazonは、CDやダウンロード購入した音楽のMP3データを無償でクラウド上に提供してくれるサービス「AutoRip」をヨーロッパでは初めてイタリア、フランス、ドイツの3ヶ国で開始しました。
AutoRipはAmazonが今年に入って開始した音楽サービスで、CDを購入すると、256KbpsのMP3版が無料提供されクラウド上の「Amazon Cloud Player」に自動保存してくれるサービスです。例えばAmazonでCDを購入した場合、CDが届けられる前からすでに、MP3データで購入直後から音楽を楽しむことができます。
AutoRip最大のメリットは過去に購入した音楽も対象となるため、Amazonユーザーはこれまで購入したCDやアナログレコード、MP3データファイルを無償でクラウドからアクセスすることが可能になります。また今回のAutoRipはカセットテープで購入した音楽も対象に入ります。
音楽ファイルには、サブスクリプション型のCloud Playerを使ってPCやMac, スマートフォン、Kindleなどの端末からどこからでもアクセスしストリーミング再生することが可能です。Cloud Playerを無料で利用するユーザーの場合は最大250曲をクラウドに保存することが可能です。有料ユーザー(年間24.99ドル)「Cloud Player Premium」サブスクライバーは最大25万曲までストレージを拡張できます。
MP3ファイルの場合は、Cloud Playerの容量制限にはカウントされません。なので、どんなにMP3を購入してもストレージを気にすることはありませんし、クラウドでもダウンロードしても両方が楽しめます。
AutoRipの対象となる音楽や期間は地域によって変わります。例えばドイツのニュースメディアDer Spiegelによれば、ドイツ国内では50万以上のアルバムが対象になるとのこと。また、ドイツでは1999年以降、フランスでは2000年以降に購入した音楽コンテンツと国によって対象期間が変わるようです。
Amazonは今後英国でもAutoRipを展開していく予定です。
AmazonはAutoRipやCloud Playerを始めとするユーザーに大変便利なツールを連動させて提供しています。またサービスも自社のKindleに制限するだけでなく、競合とも考えられるMacやiOS、Android、PCプラットフォームにも解放して対応させています。このような総合的なエコシステムを構築できるのは、今ではApple, GoogleそしてAmazonしか存在しません。
Amazon規模のビジネス展開は、簡単に真似できることではありませんが、IT企業の存在が音楽市場にとって益々重要になっていることをAmazonは示しています。どんなに良い音楽が作られても、届ける方法や聴く方法が限られていれば、この社会で広がることはありません。IT企業にできること、それは便利な機能を次々と開発しながら、多様化するリスナーや音楽ファンの視聴環境にいち早く対応させて音楽を届けていくことです。そうすることで音楽市場全体が盛り上がり、その結果音楽やミュージシャンが支持され購入される環境へと成長できると感じます。IT企業と音楽業界の連携がこれからは重要になっていくでしょう。
購入した音楽のデジタルコピーを無償でクラウドに保存してくれるAmazonのAutoRipがアナログレコードにも対応!
アマゾン、購入したCDのMP3データをクラウド上で無償提供する「Amazon AutoRip」サービスを開始
ソース
Amazon finally brings AutoRip to Europe(6/26 Wired.co.uk)