海外のサブスクリプション型音楽サービスに新たな動きです。
米国最大のモバイル事業会社AT&Tは、競合するモバイル事業会社Leap Wirelessの買収を発表しました。買収額は11億9000万ドルの現金支払い。
AT&T to Acquire Leap Wireless(発表資料)
この買収はアメリカの音楽ビジネスで重要な試みです。なぜなら、Leap Wirelessはモバイル専用音楽サブスクリプションサービス「Muve Music」を運営するCricket Wirelessの親会社だからです。Cricket Wirelessは米国内で安価なAndroidスマートフォンを中心としたプリペイドサービスを提供しています。今回の買収によりAT&TはCricket Wirelessだけでなく、Muve Musicのオーナーシップも手にしました。
音楽サービスにとって、モバイル事業会社とのパートナーシップは極めて重要で、多くの音楽サービスが提携の機会を伺っています。例えば先日ソフトバンクが買収を完了したスプリントは、Androidユーザー向けにSpotify Premiumをバンドルした携帯料金プランを提供しています。
Muve Musicは2013年1月の段階ですでに有料会員数160万人を獲得しているモバイル向け音楽サービスです。Muve Musicは大手レコード会社とライセンス契約を結んでいるため、ユーザーは人気アーティストや最新の音楽がスマホで楽しむことができます。Muve Musicの基本的なメリットは以下の通りです。
・無制限の音楽ダウンロード
・広告無し
・月額課金無し
・音楽ダウンロードの個別課金・データチャージ無し
AT&Tにとって、今回の買収は同社初となるサブスクリプション型音楽サービスへの参入という見方ができます。ですが、今後AT&Tがどんなサービスや料金形態をユーザーに提供するのかは、明らかになっていません。またAT&Tは携帯キャリア事業会社としてiPhoneやGalaxyなども販売しています。アップルなどすでに音楽サービスを展開しているIT企業とのサービスのすみ分けがどうなるのかも気になります。
これから携帯事業者と音楽サービスの間では、より付加価値の高いサービスを提供する動きが活発に行われると思います。どのような音楽ビジネスの形で音楽サービスを統合して提供するのか、注目していきたいです。
ソース
AT&T Buys Leap Wireless, Owner of Muve Music, For $1.19 Billion(7/12 Billboard)