ドイツの音楽ビジネスを代表する業界団体、音楽産業連邦協会(BVMI)は、2013年度上半期の音楽売上高を示した最新レポートを発表しました。これによれば、ドイツの音楽ビジネスは、およそ10年ぶりに初めてプラス成長を達成できました。これはまだ始まりの始まりかもしれませんが、今後の大きな成長に期待したくなる流れです。
音楽売上は前年同期から1.5%増加し、合計6億6600万ユーロ(8億8810万ドル、約860億8910万円)になりました。
最も大きく成長したのは、ダウンロードと音楽ストリーミングなどデジタル音楽。売上高は前年同期比16%増でフィジカルの減少を埋め合わせる形になり、市場シェア24.5%を占めるまで拡大しました。
その中で、音楽ダウンロードは前年同期比5.3%増で、市場シェアの20%近くの売上を占めています。一方サブスクリプションや広告モデルの音楽ストリーミングサービスは、比較的新しい分野ですが前年同期105%と急成長(!)を見せて、市場シェアの4.6%に拡大しています。
フィジカルの売上は2.5%の減少でしたが、これまでに比べ減少率は減速しています。ドイツの音楽市場全体を見ると、フィジカルが今でも市場シェア75.5%を占めており、ドイツではまだ古いフォーマットが支持されていることが分かります。
CD売上は2.7%減少しましたが、全体では67.5%の市場シェアを維持し、メディア別売上高ではまだトップでした。
アナログレコードの売上は30%以上増加し、市場シェアの1.8%を獲得しています。
デジタルとフィジカルの友好(?)関係
ドイツの音楽市場は2012年に3.2%の減少でした。その大きな要因はCDなどフィジカルの売上が低迷(7.7%)減少したことにありました。2013年上半期を見ると、その減少は大きく改善され、さらにデジタル音楽の売上が順調に成長し、フィジカルの低迷を補完する関係が生まれています。未だにフィジカルの市場規模が大きい国ですので、短期間で一気にデジタルが普及し売上の大部分を占めるまではまだ時間がかかるでしょう。ですが、音楽ストリーミングサービスなど新たな収益源を獲得しながらデジタルの領域を拡大し、フィジカルの減少によるダメージを最小化できる市場(フィジカルの減少率以上にデジタルが成長)ができれば、徐々に音楽ビジネスも上向きに流れを変えられるのではないでしょうか? 同じようにCDが市場の大部分を占める日本でも、ドイツのフィジカルとデジタル音楽の関係性は注目すると面白いかもしれませんね。
ソース
Germany’s Recorded Music Biz Reports Rare Growth In First Half(8/19 Billboard.biz)