世界中で音楽ビジネスに最も深刻なダメージを与え続けている違法ダウンロード行為。では一体何のファイルが違法にダウンロードされているのでしょうか? そこでこの度専門家が違法コピーされているミュージシャンのトップ10リストを公開しています。
このリストはオンラインの海賊行為を防止するソリューションを提供しているMUSOによって調査された結果です。
最も違法コピーされているのは、「ザ・ビートルズ」。アップロードされているファイル数は、トップ10リストの中でもダントツです。MUSOによれば、ビートルズは1ファイルが平均1000回違法ダウンロードされているとのこと。年間で計算すると年間1億9000万回違法にダウンロードされていることになります。アルバム1枚が10ドルとすると、19億ドル=約1883億8500万円!!!
違法コピーされているアーティストのトップ10はこちら。
1. ザ・ビートルズ – 187687ファイル
2. フリートウッド・マック – 72984ファイル
3. ボブ・マーリー – 60024ファイル
4. レッド・ツェッペリン – 59011ファイル
5. クリフ・リチャード – 56576 ファイル
6. スティービー・ワンダー – 45496ファイル
7. ジミ・ヘンドリックス – 44093ファイル
8. エルビス・プレスリー – 40794ファイル
9. ABBA – 35193ファイル
10.ザ・ローリング・ストーンズ – 34444ファイル
意外だと思ったのは、ビートルズやローリング・ストーンズ、エルビスが入っている一方で、ブリトニー・スピアーズやジャスティン・ティンバーレイクなど最近のアーティストが全く入っていないということ。不思議な現象ですね。
なお今回の結果結果は、過去数年に渡り削除要請を受けたウェブサイトで違法にアップロードされたファイル数をベースにしています。MUSOの違法アップロード・モニタリングシステムでは、サイバーロッカー、違法ストリーミングサイトやTorrentsをモニターしています。などリストにはPirate BayなどP2 PベースのTorrentサイトは含まれていません。
ヨーロッパは長年音楽の違法コピーによって、音楽ビジネスが大きなダメージを受けてきました。海賊行為を防ぐ一環として生まれたのが、SpotifyやDeezerなど、「ダウンロード」することから「アクセス」することに音楽の楽しみ方をフォーカスした「音楽ストリーミングサービス」。IT業界と音楽業界が新しい潮流を受け入れ、一般消費者の中に新しい価値観が生まれた結果、音楽ビジネスもプラス成長を迎える結果につながっています。
2012年のスウェーデンの音楽市場、Spotify効果でデジタル音楽が成長し全体売上が13.8%増加
スウェーデンの音楽市場、2013年上半期は「スポティファイ効果」でデジタル音楽サービスからの収益が70%を超える、市場は二桁成長を記録
オランダの音楽市場、12年ぶりにプラス成長を記録、復活の最大要因は音楽ストリーミングの増加
日本でも昨年ちょうど1年ほど前に、違法ダウンロード刑罰化が施行されましたが、音楽売上や配信ビジネスにつながる様子もなく明るい話題も聞きません。海外ではCDは終わりつつある音楽ビジネスである一方で、日本ではまだまだメインストリームのメディアとして販売されているのが現状。従って音楽ストリーミングサービスのようにCDに代わるサービスを簡単に推進するわけにはいかないところが、海外と日本で海賊行為に対する大きな見解の違いだと感じます。
違法ダウンロード罰則化 回復しない音楽売り上げが示すもの (1/2)(10/7 ITmedia)
CDが今後売上を伸ばすにも、違法行為刑事罰化をどのように啓蒙していくのか、業界努力を見せなければ、一般消費者を説得させることは無理でしょうね。そんなことを考えていたら、日本ではこんなイベントをやって違法ダウンロード撲滅を啓蒙してたと知って驚きました!
不正商品撲滅キャンペーン 許さない!偽ブランド・海賊版・違法ダウンロード『ほんと?ホント!フェア in 東京 2013』が盛大に開催(11/10 Sankei Biz)
中川翔子さんがどうこういうわけではありません。ただこの活動がどのくらい音楽を聴いている人に届くのかなと思って。(アイドルの握手券などが目当てな人は必ずCDを買う人だから、アイドルを使って啓蒙してもあまり関係ないとも思ってしまいました)。
それなら来日中のポール・マッカートニーに一言「NO MORE 違法ダウンロード」って言ってもらう方が絶対説得力あると思ったほどでした。
イメージ:via Flickr (Jason Hickey)
ソース
The Beatles named most-pirated artist in the world(11/8 Music Week)