オランダの音楽・エンターテイメント業界団体の「NVPI」が発表したレポートによれば、オランダの音楽業界は2013年度上半期の売上高が昨年同期から1.9%増加し、5810万ユーロの成長となりました。オランダの音楽市場が売上増加を記録したのは、実に12年ぶりのことになります。
音楽売上の内訳を見ると音楽ストリーミングからの売上増加が顕著で、スポティファイやDeezerなど音楽ストリーミング/サブスクリプション型サービスが市場の成長を大きく支えていることが分かります。
音楽ストリーミングサービスの売上は昨年同期の680万ユーロから倍増し、131%増加して1570万ユーロへ急成長しています。一方で、ダウンロード売上は昨年同期の840万ユーロから830万ユーロと微減しています。音楽ストリーミングとダウンロードを合わせたデジタルの売上は市場で60%増加となり、市場のシェア41.3%を獲得するまでに至りました(2012年のオランダ音楽市場では27%)。
CDなどフィジカルの売上は昨年同期から18%減少しています。
オランダの成長は、スウェーデン(13.8%)やノルウェー(17%)、ドイツ(1.5%)などヨーロッパ諸国が記録している音楽市場のプラス成長と同じ方向にあることを証明しています。
スウェーデンの音楽市場、2013年上半期は「スポティファイ効果」でデジタル音楽サービスからの収益が70%を超える、市場は二桁成長を記録
ノルウェーの音楽市場、音楽ストリーミングサービスの急成長で上半期は二桁の大幅成長
ドイツの音楽市場が10年ぶりにプラス成長、2013年上半期はデジタル貢献で1.5%増加
「デジタル音楽サービスと音楽市場は良質な関係を築けるか」、という将来の見通しと不確定性は、世界の音楽業界で最も熱く議論されているテーマの一つです。オランダの事例は、前途の北欧やドイツの例と同様に、音楽ストリーミングなどデジタル音楽サービスが、音楽市場を盛り上げ、ビジネスを活性化させるパワーを持っていることを示してくれます。
ここで考えられるアプローチとしては、国それぞれの市場で、その国のユーザー向けにデジタルサービスを提供しながら既存のサービスと共存する市場を作ることではないでしょうか?今後も引き続き同じような結果が他の国でも見られるようになれば、世界の音楽市場でもデジタル音楽を積極的に活用し「統合」する流れが生まれると信じています。
ソース
Dutch recorded music sales up for first time in 12 years in H1 2013(8/28 Musicweek)