現地時間26日(日本時間27日)に開催される第56回グラミー賞の受賞者を、音楽認識サービス「Shazam」と、音楽ストリーミングサービス「Spotify」が、それぞれユーザーデータを基に予想しています。

grammy spotify 2014

海外ではアカデミー賞やエミー賞、スーパーボールやNBAファイナルなど、国民的イベントが開催される前には、メディアから一般のファンまでが結果を予想しながらイベントを待つ楽しみ方があります。これは音楽アワードでも同じです。ShazamとSpotifyでは、各サービスのユーザーがタグ付け・ストリーミング再生した回数を各カテゴリーごとに分析し、ファンが最も人気があったノミネーションから受賞者予想をしています。

もっともグラミー賞は選考員が選ぶアワードなので、必ずしも人気が反映されるものではありませんが、、、ですが音楽アワードをデータから予想するアプローチは昨年に引き続き実施されており、このことはアワードを予想できるほど音楽サービスが蓄積するデータに一般の意見が反映されていると考えられ、音楽サービスの利用が一般消費者にまで浸透している証拠といえるのではないでしょうか。

昨年Shazamの予想は、楽曲賞と新人賞でFun.の「We Are Young」とレコード賞でゴティエの「Somebody That I Used to Know」と4部門中3部門を的中させており、今年はどれだけ一致出来るか関心が高まります。Spotifyも3部門中2部門で一致し、アルバム賞でマムフォード・アンド・サンズの「Babel」とゴティエのレコード賞を予想しました。

さらに今回のグラミー賞の放送はShazamアプリと連携しており、視聴者はイベントを視聴しながらShazamアプリで限定コンテンツを手に入れることが可能になっています(米国の話)。

Macklemore_spotify shazam

最優秀レコード賞
Shazam:ロビン・シック ft. T.I. & ファレル・ウィリアムス – Blurred Lines (540万タグ)
Spotify:Imagine Dragons – Radioactive

最優秀アルバム賞
Shazam:マックルモア&ライアン・ルイス – The Heist(1140万タグ)
Spotify:マックルモア&ライアン・ルイス – The Heist

最優秀新人賞
Shazam:マックルモア&ライアン・ルイス(ノミネートされたアーティストの中56%)
Spotify:マックルモア&ライアン・ルイス

最優秀楽曲賞
Shazam:Pink – Just Give Me a Reason(430万タグ)

最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス
Spotify:ロード – Royals

最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス
Spotify:ダフト・パンク – Get Lucky ft. ファレル・ウィリアムス、ナイル・ロジャース

最優秀ダンス・エレクトロニクス・アルバム
Shazam:カルヴィン・ハリス – 18 months(500万タグ)

最優秀カントリー・アルバム
Shazam:テイラー・スウィフト – Red(430万タグ)

最優秀ラップアルバム
Shazam:マックルモア&ライアン・ルイス – The Heist(ノミネートされたアーティストの中42%)

先日、友人で音楽マーケティングの著者でもある高野修平さんが、音楽アワードが日本でも影響力ある音楽アワードができれば、もっと音楽に関心を持つ一般消費者が増えるのではと疑問を投げかけていました。

日本で権威ある音楽アワードが必要な2つの理由(1/15 The Great Escape)

音楽アワードをただ見るだけでなく、音楽サービスを使って予想してみることも、音楽ファンや音楽サービスのユーザーにとっては、予想と結果を照らし合わせることができてアワードを見る楽しみ方が拡がるのではないでしょうか?

例えばSpotify音楽アプリ「Digster」を提供しているユニバーサルミュージックは、グラミー賞のノミネート作品をフィーチャーしたSpotifyプレイリストを公開しています。

例え自分では予想していなくても、自分が使っているサービスが予想をしていると、アワードやイベントに興味を持つ可能性が出てきます。つまり音楽サービスが先導役となって、アワードに接触する窓口を拡大しています。しかも音楽サービスなので、ニュースサイトと違って気になるアーティストがいれば即座に聴くことが可能。

上のSpotifyプレイリストのようにブログに貼り付ければ、このブログを読んだSpotifyユーザーはクリックするだけでノミネート作品を聴くことができることが、音楽サービスでアワードやイベントへの入り口を作るメリットだと思います。日本でもSpotifyなど音楽サービスを望む(?)声が多く聞かれるようになりましたが、音楽サービスの本当の価値は音楽との接点を増やしてくれることであって、ShazamやSpotifyがグラミー賞を予想することなどは、まさに音楽と人の距離を縮めてくれると言えるでしょう。

ソース
If Music Services Influenced Grammys, This Is Who Would Win(1/25 Mashable)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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