音楽アワードやテレビ中継が終わった後、音楽ファンならテレビで見た熱いパフォーマンスやノミネートされた曲を聴きたくなりますよね。海外ではすでに音楽はイベントだけにとどまらず、イベント後も継続して聴かれる流れがデータで証明されています。
第56回グラミー賞で、スティービー・ワンダーとファレル・ウィリアムス、ナイル・ロジャースとエポックメイキングなパフォーマンスを披露したダフト・パンクは、アワード後に音楽ストリーミングサービスSpotifyでの楽曲再生回数がアワード後に205%アップしたことがSpotifyの発表で分かりました。
その他では、グラミー賞放送後にはビヨンセの『Drunk in Love』は52%、ロードの楽曲は46%、マックルモア&ライアン・ルイスのトラックは65%増加したことがSpotifyから発表されました。さらに、グラミー賞を受賞しなかったテイラー・スウィフトのトラックは67%増加、7部門でノミネートされたケンドリック・ラマーのトラックは99%再生回数が増加しました。
Spotifyで最も大きな伸びを見せたのが、クラシックといえる名曲の再生回数です。ダフト・パンクのパフォーマンスで披露されたスティービー・ワンダーの『Another Star』のSpotifyでの再生回数は635%アップしました。また中国人ピアニスト、ランランと共演したメタリカの『One』は125%、そしてロビン・シックと共演したシカゴの『Does Anybody Really Know What Time It Is?』は150%の伸びを記録しました。アワードショーとSpotifyの組み合わせが、名曲や古い楽曲に視聴者の注目を集められることを示しました。
Spotifyでは最近、大きな音楽イベントの後に音楽再生が激増する傾向が見られます。これは、イベントの最中にTwitter利用が急増するのと同じように、イベントがどれだけ盛り上がったかを示す重要なバロメーターの1つになりつつあります。
日本でも幾つかの音楽アワードやイベント、野外フェスが開催されています。しかし、イベント後に音楽ストリーミングでの再生回数がアップしたなどというニュースは、ソニーのMusic UnlimitedでもKKBoxでもレコチョクBestから聞いたことがありません。このようなイベント後に音楽視聴が出来る流れ(音楽ストリーミングサービスの普及)の定着は、日本の音楽ビジネスを活性化させる方法の1つになると感じます。また今回のグラミー賞でSpotifyが示したように、スティービー・ワンダーやメタリカの名曲など最新のヒット曲以外の楽曲にも注目を集めることが実現できます。ダフト・パンクを聴いていた若者がスティービー・ワンダーやChicの楽曲を一緒に聴くような音楽ライフスタイルがSpotifyを使うことで簡単に実現可能になるのです。
After Grammys, It’s the Classics That Dominate on Spotify (1/28 Wired)