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アメリカのガールグループFifth Harmonyが、音楽情報検索アプリのShazamを使って、YouTubeやVevoよりも先に最新シングルの音楽動画を先行配信する、ユニークなプロモーションを行ないました。メジャーとインディーズに関係なくアーティストは、YouTubeで最新動画を公開することがプロモーションの常識的な手段と考えられていますが、今後はここにShazamが音楽マーケティングを発動させるツールとしてアーティストやレーベル、マネジメントでの利用が広がるかもしれません。

Fifth Harmonyの新シングル「Boss」の動画は、YouTubeなどで公開される前にShazamで12時間早く、デビューしました。ビューワーは動画を見るためには、事前にリリースされた「Boss」の音源をShazamでタグ付け(検索)するか、Shazam内のニュースフィードで見ることが出来きる仕組みです。

Shazamは今年1月にエレクトロ・デュオChromeoの新シングル「Come Alive」の動画をどこよりも早くShazamでデビューさせました。その後もShazamでは、リンキン・パーク、OneRepublic、Lucy Hale、Magicなどの動画や楽曲も先行配信させ、アプリユーザーに独占的コンテンツで新しい音楽の発掘をサポートしています。

Shazamの音楽事業トップのピーター・ザボ(Peter Szabo)は

私たちはただ音楽を見つけることから、音楽を探索することへとシフトしています。その過程で私たちはユーザーにより多くのコンテンツを届けています。曲名やアーティスト名を見つけることは単なるスタートに過ぎません。もしユーザーに新曲、エクスクルーシブな動画やコンテンツを届けられれば、もっと素晴らしくなります

と語ります。

アーティストは新曲を配信しプロモートするために、新しい方法を模索しています。

これまでの音楽プロモーションの方法だけでは、YouTubeやストリーミング、ダウンロードと共存しながら売上を伸ばすことは出来ません。

今年の始め、ロックミュージシャンのベック(Beck)は飛行機の機内専用ネットワークGogoを使って、搭乗者へ独占的に新アルバムをストリーミング配信する試みを行ないました。

ロックミュージシャンのブルース・スプリングスティーンは、米TV局CBSの番組「The Good Wife」と手を組み、新アルバム「High Hopes」を一般発売前にCBS.comで先行配信しました。

またFacebookもジェイZの「Holy Grail」、ブルーノ・マーズの「Gorilla」、マライア・キャリーの「The Art of Letting Go」、エド・シーランの「Sing」など有名アーティストの音楽PVをデビューさせてきました。

Shazamのザボは

私たちShazamは、アーティストやマネジメント、レーベルがShazamで新コンテンツをリリースしてくれることにワクワクしています。世界中から集まる4億7500万人以上の熱狂的なユーザーベースで、私たちは常にユーザー達にもっと何かを与えることを目指しています。

とアーティストやレーベルの音楽マーケティングのツールとしてShazamが活用されることに期待しています。

ただYouTube(Vevo)で「Bo$$」の動画が公開せれるやいなや、1日で再生回数が150万回以上に達しています。それだけまだまだ動画視聴とバイラル性はYouTubeの方が優れていると言えます。逆の見方をすれば、人気のアーティストやフォロワーベースがあるアーティストにとってYouTubeはコンテンツ配信に適しているかもしれませんが、そうではないアーティストはYouTubeでは埋もれてしまうかもしれませんね。

ソース
Shazam Debuts Fifth Harmony’s Video as Artists Test Digital Tactics (7/9 Mashable)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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