海外での話になりますが。
Spotifyなど音楽ストリーミングサービスが急成長する世界の音楽シーン(日本を除く)では、ストリーミングと同時にデジタルダウンロードからの売上を増加させるために、テクノロジー連携やマーケティング活動を展開しています。特に収益化の拡大と売上回復が絶対的使命である音楽業界では、従来取り入れられていない、業界外のマーケティング手法を採用した、新しい試みに取り組んでいます。
ドイツのソニーミュージックはアルバムが毎日ディスカウント価格で購入できる「Album of the Day」iOSアプリをリリースしました。このアプリでは、毎日1枚の「アルバム・オブ・ザ・デー」が定価から最大70%のディスカウントで購入が可能になります。このアプリで特筆すべき点はといえば、ディスカウントが24時間限定であるということにあります。
ソニーによれば、「Album of the Day」アプリは世界で初めての「音楽向けフラッシュセール」アプリと説明しています。フラッシュセールはオンラインではファッションなどのECサイトで活用されるマーケティング手法で、GILT (ギルト)などが有名です。
毎日セールが始まればアプリからの通知が届き、購入したアルバムは即座にiTunesライブラリーに追加されます。またリスナーはアルバムを視聴することも可能です。
ソニーはこのアプリを通じて、アルバムダウンロードへの関心を高めることを狙っています。またこのアプリでの購入がiTunesアルバムチャートで常に上位にランクインすることにつながると、開発したドイツのソニーミュージックは答えています。ドイツではすでにアプリは3月にローンチしています。
音楽売上は近年デジタルダウンロードのおかげで売上がフィジカルを超えるほどに伸びて来ています。しかし、そのデジタルの中でも音楽ストリーミングが急激に拡大し、その一方ではダウンロードが減少し、米国では昨年iTunesストアが開設して以来初めてマイナスの売上を記録しました。
サンタナ、ディキシー・チックス、ブルース・スプリングスティーン、キングス・オブ・レオン、P!nk、ボブ・ディラン、アッシャー、エアロスミス、アリシア・キーズなど大物アーティストのアルバムが揃い、今後もさらにその数は増える予定です。
殘念ながら、今「Album of the Day」アプリは米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドのみでしか利用ができません。
このアプリでアップルやソニーミュージック、アーティストへの収益分配がどうなっているのかは分かりません。ただこのアプリで、音楽ストリーミングサービスを利用するまでには至っていない、音楽好きがまたアルバムダウンロードに関心を持ち始めるキッカケになるかもしれません。このアプリから見えるように、音楽シーンを盛り上げていくためには、音楽産業以外に開発者やマーケティング視点での音楽体験を考えなおさなければ行けない時期に来ています。
ソース
Sony’s Album of the Day App Promotes Discounted Records (8/13 The Next Web)