10日深夜に開催されたアップルの新製品発表会の場で、ゲスト・アーティストとして登場したU2が最新アルバム「Songs of Innocence」をiTunesストアでの無料配信を開始しました。
「Songs of Innocence」はU2にとって2009年にリリースした「No Line on the Horizon」から5年ぶりとなる、待望の新作。
発表会で新曲「The Miracle (of Joey Ramone)」を披露したU2のボーカル、ボノは演奏後ステージでティム・クックCEOと共に「iTunes限定で無料配信」を開始するサプライズ発言し、来場者やネットの視聴者、U2のファンを沸かせました。
ティム・クックCEOは今回のU2とのコラボレーションを「過去最大規模のアルバム・リリースで、音楽業界の歴史を作る」と宣言。iTunesの5億人ユーザーにリーチできるスケールを主張し、iTunesの優位性を印象づけました。
アップルは無料配信の権利を獲得する代わりに、U2の新曲およびアルバムを自社の広告に載せてTVCMなどでプロモーションを行ないます。
アルバムの無料配信は10月13日まで続きます。一般リリースは10月14日に決定しました。アルバムはiTunesストアの他に、iTues RadioとBeats Musicでも配信を開始します。
ボノはTIMEの取材に対して、U2ば無料配信をしたわけではなく、アップルが無料配信するため配信料を支払ったことを明らかにしました。
We were paid, I don’t believe in free music. Music is a sacrament.
(支払ってもらったよ。無料の音楽なんて信じていない。音楽は神聖なものなんだ)
どの位の量のアルバム(5億人分なのか、枚数は不明)分をアップルが支払ったか、不明です。
U2とアップルは長い間さまざまな形でコラボレーションを実現してきました。2004年にはチャリティ目的でU2エディションの限定iPodをリリースしたことから関係が始まり、以降もアップルはボノのチャリティ団体「Product (RED) 」の支援を継続して行なってきたことや、今年の1月にはU2のチャリティソングをiTunes限定で無料配信する取り組みも実現しています。
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最近におけるU2のデジタル音楽に対するオープンな姿勢は、長年バンドのマネージャーを務めてきたポール・マクギネス(Paul McGuinness)から、新たにライブ・ネイションとマネジメント契約を結び、新マネージャーにガイ・オセアリー(Guy Oseary)を迎えたことが影響していると考えられます。ガイ・オセアリー(Guy Oseary)は長年マドンナのマネージャー兼ビジネス・パートナーを努めており、また自身も俳優のアシュトン・カッチャーとともに「A-Grade Investments」を設立し、スタートアップに早期投資する企業投資家の顔も持ち合わせているため、アーティストのデジタル戦略を巨大なスケールで立案できる才能を持ったデジタル音楽マネージャーと言えるでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=nXJz3C12bWs
ソース
Bono On U2’s Not-So-Free iTunes Album: “We Were Paid” (9/10 TIME)
Apple paid undisclosed sum to release U2’s “Songs of Innocence” for free [u] (9/10 Appleinsider)