世界180カ国以上で音楽聴き放題を展開する音楽ストリーミングサービス「Deezer」(ディーザー)が、アメリカでようやくサービスを開始しました。
SpotifyのライバルであるDeezerの米国サービスは、通常のストリーミングサービスの形式とは大きく異なる戦略を打ち出してきました。Deezerの差別化要因は「高音質オーディオ」です。
Deezerの米版は、高音質オーディオ好きをターゲットにしたサービスで、「ロスレス」(可逆圧縮)FLAC 16bit/44.1kHz(1,411kbps)と高音質で3500万曲以上の楽曲を配信していきます。
現状ではSpotifyなどライバル企業は現在320kbpsで配信しています。
Deezerのサービス「Deezer Elite」(ディーザー・エリート)は9月15日から開始予定で、プロモーションとして年間契約をした場合は月額9.99ドルで、それ以外は月額14.99ドルの割引料金で提供されます。DeezerはいずれEliteの利用料金が月額19.99ドルに上がると明言しています。SpotifyやRdioなど定額制サービスの約2倍の料金と高額な料金設定ですが、いつから切り替わるかは明らかにしていません。
Deezerはスマホ連携で人気のオーディオブランド「Sonos」とパートナーシップを組みます。米国でDeezerを利用するにはSonosのオーディオシステムが必要になります。
Deezer USのCEOタイラー・ゴールドマン(Tyler Goldman)は
多くの調査を行なってきたが、消費者はアナログレコードからCD、そしてMP3と音楽を聴くメディアの音質がどんどん退化してきたことに、かなり不満を感じています。
と音楽を聴く場合の音質へのこだわりに可能性があることを述べています。
Deezerは今後Deezer Eliteサービスをその他のプラットフォームへ展開する予定で、通常のDeezerサービスも展開する予定と言っています。また高音質配信のEliteを将来的に海外でも展開する予定だとしています。
Deezerは現在1600万人のアクティブユーザー、500万人の有料ユーザーを抱えています。ライバルのSpotifyはアクティブユーザーが4000万人、有料ユーザーは1000万人を突破しています。
競争が激化する音楽ストリーミングサービスの分野では、特に米国での競争が激化し、SpotifyやRdio、Pandora、Beats Music、Rhapsodyなど多数のサービスがしのぎを削っています。その半面、Spotifyにしてもまだ一般音楽ファンの中でも音楽ストリーミングサービスは知名度が低く、またサービス利用者もなかなか伸ばせていないのが現状です。
高音質といえば、「Beats by Dr. Dre」ヘッドフォン・ブランドを運営するBeats Electronicsを想像してしまいます。Beatsもハードウェアとして高音質にこだわり、さらにデザイン性・ファッション性も重要視しています。DeezerとSonosの連携は、AppleのBeats買収のように、高音質再生とデザイン性・ファッション性を求めたハードウェアとソフトウェアの連携なのかもしれませんし、もしかしたら、今後のデジタル音楽市場はデジタルテクノロジーを高音質で拡張するサービスや連携が増える黎明期を迎えているのかもしれません。
ソース
Deezer Launches Music Service in U.S. with High-Quality Streams (9/10 Re/code)