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世界の音楽シーンで話題になっている、サブスクリプション型音楽ストリーミングサービス「Spotify」(スポティファイ)のイギリス事業が、初めて黒字化を達成したことが、同社の財務報告書で明らかになりました。

Spotify Ltdの2013年の売上高は2012年から41.8%アップし9260万ポンド(約161億円)から1億3140万ポンド(約228億円)、2012年の1100万ポンド(約19億円)の純損失から260万ポンド(約4億5000万円)の純利益へ転換することに成功しました。

Spotifyのスポークスパーソンは、英国ガーディアン紙に対して

この度の成長は、イギリスのサブスクリプション型サービスの成長率42%と、広告売上が好調だったことが要因です。Spotifyの成長は、デジタル売上が初めて総売上の50%に達し、ストリーミングからの売上高が前年比41%増と急成長した、イギリスのデジタル音楽の売上成長を反映しています。

とコメントしています。

Spotifyのロンドンオフィスは1年で人材が111人から120人に拡大しています。
スマホやタブレット、ウェブでも制限なく音楽が聴き放題できるSpotifyの有料会員獲得の要因として挙げられるのは、ボーダフォンとの提携によるバンドルプラン、生徒向け50%ディスカウントです。

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事業別に収益を見ると、広告売上は12.3%上昇して910万ポンド(約16億円)から1020万ポンド(約17億7000万円)と、小さな成長でした。サブスクリプション (月額定額)からの売上は、6480万ポンド(約113億円)から9200万ポンド(約159億9000万円)と大きく成長しました。

一方2013年のコストは、レコード会社やパブリッシャーへのロイヤリティ料支払いが9620万ポンド(約167億円)で、総売上の73.2%を占めました。運営コストは2060万ポンド(約35億8000万円)で、売上の15.7%を占めています。

Spotifyは、2013年のグローバル規模での収支を発表していません。2012年度のグローバルでの業績は売上高が4億3470万ユーロに対し、損失高は2011年度が5870万ユーロ、2013年度は4540万ユーロを計上しています。

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現在Spotifyは、グローバルで58カ国にサービスを展開中で、アクティブユーザーは4000万人以上、月額定額9.99ドルを支払う有料会員数は1000万人以上を突破して、ユーザー規模では世界最大のサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスです。この1、2年でSpotifyは世界展開戦略を強化し、ヨーロッパの他に中南米や東南アジアにも進出してきました。

しかし日本ではレコード会社との交渉が決着しておらず邦楽コンテンツが配信できないなどのビジネス上の課題に直面しているため、サービスの開始が遅れをとっています。

Spotify では好きなアーティストの音楽が好きな時に好きな場所で楽しめる、全く新しい音楽の楽しみ方です。従来の音楽サービスのように曲をダウンロードする必要もありませんし、有料会員になれば広告に邪魔されることもないというメリットがあります。

音楽が聴き放題できることで、音源をダウンロード購入したりライブに行くキッカケとなったり、気分によってお気に入りの音楽を聴いたり新しい音楽を掘ったりもでき、音楽をカジュアルに楽しめます。CDを買わない人、ダウンロードが煩わしいと思う人が増えてきた今の時代で、Spotifyほど手軽に音楽を聴くための音楽をここまで手軽な存在にしてくれるテクノロジーは過去には存在してきませんでした。またSpotifyの影響は、音楽を取り巻くライフスタイルを充実させてくれます。日常生活に音楽を届けるという野心的なSpotifyは、音楽ビジネスやデジタル音楽体験に変化をもたらしてくれることに間違いないと思います。

ソース
Spotify’s UK revenues rose 42% in 2013 as music service turned a profit (10/7 The Guardian)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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