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世界最大のエレクトロニック・ミュージック・ストアBeatportを2015年初めに音楽ストリーミングサーヴィスとして再ローンチすることが分かりました。Beatportの親会社でもある、EDM業界で最大手のイベントプロモーション会社SFX Entertainmentが大きな方向転換を図ります。

Beatportはこれまで最新のリリースからカタログまで高音質のエレクトロニック・ミュージック音源をプロのDJやダンスミュージック・ファンなどに向けてダウンロード販売してきました。SFXは2013年にBeatportを買収しました。

新たなBeatportでは、音源のダウンロード販売に代わり、無料の音楽ストリーミング再生機能がフィーチャーされ、音源カタログをオンデマンドで再生することが可能になると、ウォール・ストリート・ジャーナルがレポートしています。Beatportの無料音楽ストリーミングは広告モデルによって運営されるとのことです。

SFXは現在もレコードレーベルとライセンスの交渉中です。しかしエレクトロニック・ミュージックの世界では、一般的な音楽ストリーミングサーヴィスと違い、メジャーレーベルとのライセンス契約が必ずしも必要ではないところにSFXとBeatportのアドバンテージがあります。現在もBeatportで販売する350万曲以上のトラックの90%以上が小規模なインディーズレーベルのトラックです。

SFXはBeatportのダウンロード販売は継続します。ダウンロード・ストアの名称は「Beatport Pro」へ変更となる予定です。

また新しいBeatportにはダンスミュージックのファンがイベント情報やアーティストのプロフィール、またはイベントのライブ配信などのコンテンツを投稿できるコミュニティ機能が追加されると噂されています。このサイトではSFXが先日買収した音楽SNS「Listn」と、世界中のクラブのプレイがリアルタイムで聴くことができる「hostess.fm」のサーヴィスが連携されると予想されます。

Beatportのダウンロード販売からの売上は、SFXの売上約21%を占めるとアナリストは予想しています。そのため、音楽ストリーミングサーヴィスのローンチ後も、当分は収益源の中心となる見通しです。

Beatportの再ローンチによって、SFXでは自社が持つブランドの60近くのサイトやコンテンツへのビジター約3億人を集約し、広告主向けに効率的なリーチを展開することを目指します。オンラインサイトへの集客は、SFXがプロデュースするライブイベントの動員の約100倍でした(2014年1-9月期)。

音楽ダウンロードがBeatportの主な収益源であることに間違いはありませんが、世界的に音楽ダウンロードはこの数年で減少傾向にあり、今年に入ってiTunesストアの音楽売上は13%下落しました。反対に、音楽ストリーミングサーヴィスは世界的に新規ユーザーや有料会員を増やし続けて急成長しています。

Beatportの事情に詳しい人間によれば、Beatportの年間のユニークビジター数は約5,000万人ですが、ほとんどが音楽を購入しないファンだそうです。新しいBeatportは音楽ストリーミング機能によって、多くの一般的な音楽ファンを惹きつけられると同時に、広告やブランドパートナーシップ、スポンサーシップを広く展開することが可能になると予想されます。

ソース
SFX Entertainment to Launch Streaming Service Focused on Electronic Music (12/12 WSJ)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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