フランスを拠点に世界180カ国以上へ展開する音楽ストリーミングサーヴィス 「Deezer」が、アメリカのモバイル向け音楽ストリーミングサーヴィス「Muve Music」を買収したことを発表しました。Muve Musicを運営するモバイルキャリアLeap Wirelessは、アメリカ最大のモバイルキャリアAT&Tです。今回の買収によってDeezerは、SpotifyやPandoraなどが人気のアメリカ音楽市場へ本格的に踏み込むための、強力な味方を手にしたことになります。
Muve Musicはサブスクリプション型音楽サーヴィスとしてアメリカで人気のあるサーヴィスで、Spotifyの有料会員数に次ぐ有料会員200万人以上を集めています。Muve MusicユーザーはCricketとのデータバンドルプランでiOSとAndroid端末が利用できることも、多くの利用者を獲得している要因になっています。
Deezerのアメリカ進出戦略
2007年創業のDeezerは昨年ようやくアメリカに進出しました。すでに競争が激しいアメリカで他のサーヴィスと差別化することを目指し、月額20ドルの高音質音楽配信「Deezer Elite」をローンチし、当初はコアな音楽好きやオーディオ愛好家を取り込む戦略を実施しています。またDeezerはポッドキャスト・サーヴィス「Stitcher Radio」を買収し、ラジオへも注力してきました。そして今回、本格的なモバイル戦略としてMuve Music買収でモバイルユーザーを取り込む戦略を実施しようとしています。
買収によってDeezerはMuveユーザーに月額5.99ドルの音楽プランを提供します(月額35ドルのCricketモバイルプラン加入者に限る)。Muveユーザーは、Deezerが提供する3500万曲以上の音楽カタログへオンデマンドでアクセスしてストリーミング再生が出来るほか、好きなアーティストや楽曲から曲が自動レコメンドされるパーソナライズド・ラジオも使うことが出来るようになります。Deezerはまた広告付きのサーヴィスの提供もMuveユーザー向けに計画しています。
通常のサーヴィスは月額10ドルでのオファーになるので、価格帯だけでもMuveを獲得したDeezerには大きなアドヴァンテージになります。
ソース
Deezer buys mobile-focused Muve Music from Cricket / AT&T (1/8 Gigaom)