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ドレ―に続いてこの人も。2015年は音楽ストリーミングが面白くなりそうな年です。

ヒップホップ界の帝王ジェイ・Zが、音楽ストリーミングサーヴィスTidalWiMPを運営するAspiroを買収する準備を始めたというニュースが飛び込んできました。注目が高まる音楽ストリーミングの世界で勝負するのはドクター・ドレーだけでは無くなりそうです。

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WiMPは2010年に設立されて、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、ドイツ、ポーランドで展開される音楽ストリーミングサーヴィス。一方でTidalは「高音質」配信を売りに最近開始したばかりの音楽サーヴィスで、SpotifyやRdio、Deezerなどよりも高音質な音楽配信を実現します。月額利用料金は20ドルで、通常の音楽ストリーミング(月額10ドル)の2倍の価格帯。現在は米国とアメリカでのみサーヴィスを展開しています。

買収の提案はジェイ・Zが所有するS. Carter Enterprises(SCE)傘下のProject Panther Bidco Ltd,から出され、買収提案額は約5600万ドル(約66億円)です。提案に対してAspiroの取締役会は全ての株主に満場一致でオファーを受けるようにとレコメンドをしました。

音楽ストリーミングとアーティスト

アップルが昨年買収したヘッドフォンブランド「Beats by Dre」を運営するBeats Electronicsは、定額制音楽ストリーミングサーヴィス「Beats Music」も提供しています。Beatsの共同創業者ドクター・ドレーは、企業売却によって最もリッチなミュージシャンの一人に仲間入りし、アップル経営陣の仲間入りを果たしました(役職は不明)。

今回Aspiroの買収に成功すれば、ジェイ・Zは世界で急成長を見せている音楽ストリーミングの領域に参入できるだけでなく、自身の持つエンターテインメント会社「Roc Nation」のポートフォリオに音楽ストリーミングサーヴィスを加えることが可能になります。Roc Nationはすでにアーティスト・マネジメント、音楽出版、レコード・レーベルの機能を有し、世界最大のコンサート・プロモーション企業ライブ・ネイションとは10年契約を結んでいます。

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特に興味深いのが、Tidalのサーヴィス。Tidalのユニークな点は、44.1kHz/16ビット FLAC/ALAC形式を1141kbpsのCD音質で配信することが技術的に可能で、一般的な競合よりも約4倍、音質が向上していることです。

音質をアップさせた音楽配信は現在SpotifyやBeats Musicとも違う差別化要因で、狙っているのは音質に拘る音楽好きがターゲット。音楽ストリーミング業界では重点的にフォーカスしてこなかった新しい消費者層と言えます。

ジェイ・Zは2013年にサムスンと組んでアルバム「Magna Carta Holly Grail」をスマホユーザー限定でアプリ経由で配信するという、斬新なマーケティング手法を実現させました。今回の買収で音楽ストリーミングサーヴィスを手に入れれば、自身の作品だけでなく、「ジェイ・Z」ブランドの音楽サーヴィスを使いたいアーティストとのコラボレーションも独占的に配信できるようになると予想できます。

 

ソース
プレスリリース
Jay-Z Gets Into Music Streaming With $56M Bid For Aspiro, Owner Of WiMP And Tidal (1/29 TechCrunch)
photo credit: www.adamglanzmanphotography.com  cc


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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