オンデマンド型の定額制ストリーミングサーヴィスはSpotifyやRdio、Rhapsodyなどが価格やデバイス連携で激しい競走を繰り広げているのが、日本を除く世界で数年に渡って続いています。そんな中、フランスの定額制音楽ストリーミングサーヴィス「Deezer」(ディーザー)は、高音質に注力して、音にこだわりを持つユーザーを獲得するための世界戦略を発表しました。
Deezerはスマートオーディオ・メーカー「Sonos」と提携して、高音質音楽ストリーミングサーヴィス「Deezer Elite」を世界で展開することを明らかにしました。すでにアメリカでは2014年10月にDeezerの米国ローンチに伴って開始してきました。今回は、ヨーロッパ、北米、南米、アジアにDeezer Eliteを拡大して、世界180カ国にサーヴィスを提供します。サーヴィスは3月19日に開始する予定です。
Deezer Eliteでは、3,500万曲以上の楽曲を1,411kbpsのFLAC可逆圧縮ファイルでSonosのオーディオデバイスから楽しむことができます。これは一般的な音楽ストリーミングと比較すると約5倍の高音質にあたります。
米国ではDeezer Eliteは月額19.99ドルで、一般的な音楽ストリーミングの月額料金9.99ドルよりも高額に設定されています。しかし価格帯を変えて挑戦した分は、他のサービスとは異なるユーザーを獲得できているようです。Deezerがターゲットとするユーザー層は20−25歳のテック好きな若者と、35歳以上の音楽好きです。Deezerの北米担当CEOタイラー・ゴールドマン(Tyler Goldman)は、「Deezer Eliteの米国ローンチ後、通常の音楽ストリーミングの有料会員が音楽を聴く時間が平均で1時間であるところ、Deezer Elite会員はその2倍の時間を音楽に費やす。65%の会員がMP3クオリティの音楽配信には戻らないと答えている」と説明します。
Deezerの高音質での音楽ストリーミングは、すでに競走が激しい市場に参入するための差別化要因を示すことが目的でした。
2008年に創業されたDeezerはこれまで世界182カ国で音楽ストリーミングサーヴィスを展開、アクティブユーザー数1,600万人、有料会員数600万人を獲得してきました。
これまであまり注目されてこなかった、音質にこだわりを持つリスナーや音楽好きを取り込める戦略と機能を打ち出せれば、音楽ストリーミングの市場もさらに拡大する可能性を秘めていると言えるでしょう。
ソース
Deezer Takes Elite, Its High-Definition Music Service, Global With Sonos(2/11 TechCrunch)