定額制音楽ストリーミングサービスの「Spotify」(スポティファイ)ではアーティストごとのプロフィールページがあり、この中ではどれくらい人気曲がストリーミング再生されたか、数値化されて見ることができます。Spotifyによれば、イギリス人アーティストのエド・シーラン (Ed Sheeran)が、イギリス人アーティストとして初めてストリーミング再生回数が合計20億回を超えたことを発表しました。
Spotifyで再生回数合計が20億回を超えたのは、過去にエミネムのみで、史上2人目の快挙です。
Spotifyのヨーロッパ地域レーベルリレーション担当ケヴィン・ブラウン (Kevin Brown)は、エド・シーランの成功について次のように述べています。
端的に言えるのは、エド・シーランは世界中のSpotifyユーザーから愛されているアーティストの一人であるということです。このマイルストーンを彼が達成できたことを嬉しく思います。
アルバム「x」リリース後約1年も人気であり続けファンを獲得し続けている事実は、アルバムの高いクオリティとエドのアーティストとしての魅力の勝利と言えます。
エド・シーランとSpotify
Spotifyの収益分配やビジネスモデルを非難する少数のアーティストが否定的な発言をくりかえる中で、エド・シーランは過去にSpotifyを擁護するコメントを残すなど、Spotifyを受け入れる姿勢を示しています。
昨年BBCのインタビューでは、「僕は南アフリカでライブがソールドアウトする。韓国や東南アジアではアリーナが完売する。こんなこと、Spotifyなしじゃ実現できなかった。僕にとってSpotifyは必要悪でも何でもない。僕がしたいことを実現してくれる」と答えています。
レディオヘッドのトム・ヨークやテイラー・スウィフトは、Spotifyに反対する立場を表明し、サービスから自分たちの楽曲を取り下げて配信を止めています。昨年テイラー・スウィフトはSpotifyの低いロイヤリティ配分を非難する意見をウォールストリートジャーナルに寄稿し、新アルバム「1989」リリース時には全てのカタログをSpotifyから削除しました。「1989」はCDやダウンロード販売で初週売上が128万枚で、米国では2002年以来週間売上では最高を記録するヒット作となりました。
エド・シーランの考えは、彼らとは少し異なります。彼は、他のアーティストたちの意見を尊重しつつも、Spotifyのロイヤリティは公平だと言います。
「僕は、Spotifyは正しい額を支払っていると思う。僕たちにはまだそれが見えてないだけ。なぜなら、レーベルが以前のように稼げなくなったから、Spotifyからの分配を多く受け取っているからなのさ。
僕はレコード販売のパーセンテージは受け取っている。だけど大きな額じゃない。僕は全てのチケット販売から利益を得ている。だからできるならツアーがしたいね。」
エド・シーランの人気は、世界58カ国で展開するSpotifyでも群を抜いています。2014年、エド・シーランはSpotifyで最もストリーミング再生されたアーティスト。またアルバム「x」は4億3000万回ストリーミング再生されて、2014年に最も再生回数を上げたアルバムとなり、米ビルボードのアルバムチャートでは1位デビューを飾りました。
確かに前述のテイラー・スウィフトのようにCDやダウンロードで人気を集めることは、今でも可能だということを証明しました。ですが、エド・シーランの場合も、音楽ストリーミングでもアーティストの音楽性や作品が良ければ、世界各地のリスナーに聴いてもらえることを証明しています。それがグローバルな広がりを見せる音楽ストリーミングサービスのリーチ力で、Spotifyで局を配信する影響力だと感じます。
ソース
Ed Sheeran hits new Spotify high with two billion streams (4/21 BBC)
image by Kathi Rudminat via Flickr