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音楽ストリーミングがいい意味で定着してきているようです。

音楽ストリーミングがイギリスでも成長しています。Official Chart CompanyとBPIが発表した2015年前半期の音楽業界データによれば、イギリスでは音楽ストリーミングサービスの再生回数は79.5%上昇して、わずか6カ月で合計115億回がSpotifyやDeezer、Google Playなどで視聴されていることが明らかになりました。これはイギリスが2014年で記録した148億回に迫る数字で、この数字は2013年の約2倍だったことを考慮した場合、2015年の音楽ストリーミング再生回数は大幅な成長が見込まれます。

デジタルトラック・ダウンロードや音楽ストリーミングからの数値を変換してアルバム売上を合算する「Album Equivalent Sales」換算を使ってアルバム売上を計算した時、2015年前半のイギリスでは全体の音楽消費はなんと前年同期比4%アップしたことが分かりました。2014年前半の数値は5.8%減少していたことを考えると、業界全体にはプラスな知らせです。

さらにこの好調な数字には、3カ月無料期間を提供するApple Musicからの数字はカウントされていません。2015年後期には音楽ストリーミングからの再生はさらに伸びることが期待されています。

一方、CDなどフィジカルの音楽売上は前年同期比4.4%減少しました。これは2014年前半に記録した10.4%減少に比べると、大幅に回復しており、減少のペースが緩くなっていることが分かります。BPIはこの減少速度の減速は、コンピレーションアルバムが好調だったことが原因にあるとしています。

またデジタルアルバムの売上も6.6%マイナスとこちらも苦しんでいます。

アナログレコードの売上は56.3%増加し、勢いが衰える兆しはありません。このままの勢いを維持すれば1994年に現在のチャートシステムが記録した売上最高記録を越えて、200万枚に到達する可能性も出てきました。アナログLPで好調だったのはロックで「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ:Chasing Yesterday」が最も人気のリリースです。

全体的に好調な音楽ストリーミングですが、BPIはサブスクリプション型音楽ストリーミングとフリーの音楽ストリーミングのユーザーに関するデータは公開しておらず、どの程度のシェアがあるのかは未知数です。しかしBPIのCEOジェフ・タイラー(Geoff Taylor)は、「Apple Musicの開始は音楽ストリーミング革命に更なる勢いを与えてくれるでしょう。数百万規模のユーザーが聴きたい音楽を自宅でどのデバイスでも聴くことが出来る楽しみを体験しながら、最新作からクラシックまで音楽の世界を堪能できるでしょう」と前向きに答えてきます。

アーティストの作品別で前半を振り返ると、アルバム売上では累計180万枚に到達したサム・スミスの「In the Lonely Hour」が1位。2位はエド・シーランの「X」で47万枚の売上を達成(累計220万枚)でした。

フォーマット別売上

フィジカルアルバム:22,245,032(-4.4%)
アナログLP:833,137(56.3%)
CD:21,384,789(5.7%)
デジタルアルバム:13,858,816(-6.6%)
Track Equivalent Albums:7,181,439(-12.3%)
Stream Equivalent Albums:11,490,857(79.5%)
全体売上:54,776,144(4.0%)

*TEA – トラック売上10曲分をアルバム1枚で集計する数字
**SEA – ストリーミング再生回数合計を100で割る数字

2015年前半期アルバム売上トップ10

1. サム・スミス:In the Lonely Hour
2. エド・シーラン:X
3. ジョージ・エズラ:Wanted on Voyage
4. テイラー・スウィフト:1989
5. Hozier:Hozier
6. ジェームズ・ベイ:Chaos and the Calm
7. ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ:Chasing Yesterday
8. メーガン・トレイナー:Title
9. パロマ・フェイス:A Perfect Contradiction
10. マムフォード・アンド・サンズ:Wilder Mind

ソース
STREAMING DRIVES BOOST IN UK MUSIC CONSUMPTION IN FIRST HALF OF 2015(BPI)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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