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アップルは世界的に人気が拡がる動画メッセージングアプリ「Snapchat」で、定額制音楽ストリーミングサービス「Apple Music」の公式アカウントを開設して動画を配信し始めました。

Snapchatでは若者に人気の動画、画像メッセージ・アプリで、一日に視聴される動画は30億回以上に上るほど急成長を続けています。

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Apple Musicは6月から始まった定額制の音楽聴き放題サービス。3カ月間は無料期間で誰でも使えますが、その後は月額利用料は980円となります。最大6人で利用できるファミリープラン1480円も同時に用意されています。

Apple Musicの公式アカウントでは24時間のラジオ局「Beats 1」のスタジオ裏側の様子やDJ達の様子が届けられます。ロサンゼルスのゼイン・ロウ、ロンドンのジュリー・アデヌガ、ニューヨークのエブロ・ダーデンのBeats 1 DJ達のスタジオ内部や機材、収録の様子やアーティストとのツーショットなど、音楽コンテンツの作り手のパーソナリティや熱量が伝わるような動画に仕上がり、音楽だけでなく「中の人」の姿まで見ることができるようになっています。

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Apple Musicさん(@applemusic)が投稿した動画 –

Apple Music公式アカウントを追加するには、Snapchatで「applemusic」を友人に追加するだけ。アップルはSnapchatの他にTwitter、Facebook、Instagram、Tumblrを積極的に使いApple Musicのプロモーションやコミュニケーションを行っています。

アップルが新音楽サービスで成功するためには、新規ユーザーを獲得するだけではなく、他社サービスからユーザーを移行させることが、ユーザー数の拡大するために必要だと言えます。ライバルのSpotifyは有料会員数をすでに2000万人以上獲得しており、また無料のネットラジオサービスPandoraは月間アクティブユーザー7900万人以上を有するなど、他社はすでに大きなユーザー層を抱えています。

特にどのサービスを利用するか決めかねている層にサービスを知ってもらうためには、機能を紹介するだけでは魅力が伝わりにくいし、サービスに対する愛着や興味を喚起しにくいでしょう。その意味でSNSを使ったコミュニケーションでBeats 1のDJやゲストDJの様子を伝えることは、一般的な音楽好きに最もアプローチしやすい戦略と考えられます。Beats 1というリアルな生ラジオ、生のDJ、ファレル・ウィリアムスやドクター・ドレー、ドレイクなど多数のゲスト・アーティストが参加していることは、SNSフレンドリーなコンテンツを作り出す点でアップルに優位性をもたらしてくれます。どの程度SNSのコミュニケーションをアップルが真剣に考えているのかによって、もしかしたらApple Musicの成功に影響があるかもしれません。

ソース
Apple uses Snapchat to take users behind the scenes at Beats 1(Mashable)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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