アデルが新作「25」でイギリス音楽の過去最高だった売り上げ記録を塗り替えました。

リリースから7日間での売上は800,307ユニット。リリース初日(11/20)だけで313,000ユニットが購入され、「25」は初週売上のイギリス記録を18年ぶりに10万枚以上も更新するメガヒットアルバムとなりました。

これまでイギリスで初週アルバム売上の記録を保持していたのは1997年にオアシスが「Be Here Now」で記録した696,000枚。ただし「Be Here Now」はチャート集計の3日目にリリースされた記録で、さらに「Be Here Now」は初日単独の売上が424,000枚で歴代最高記録を保持しています。

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アルバムの内訳は、ダウンロードが252,423ユニット。フィジカルが割合の68%を占めて、CDアルバムが543,000枚、アナログLPが5,000枚でした。対象的に「Be Here Now」はCDが621,000枚、カセットが66,000個、アナログLPが7,600枚でした。

イギリスの音楽業界団体BPIは、「25」にダブル・プラチナレコードに認定しました。ちなみにこの週のアルバム売上ではアデルがチャート2位から86位の売上合計よりも大きな数字を叩き出したとのことです。

「25」はイギリス音楽史上、記録づくめのアルバムになりました。今年に入ってイギリスでは初週の売上が10万枚を超えたアルバムは、「25」が初めてとなります。また「25」のダウンロードは、これまでエド・シーランが「x」で記録した初週デジタルアルバム売上の95,709ダウンロードを大幅に更新しました。

世界的なヒットとなった前作「21」は初週売上が208,000ユニット。100万ユニットを超えるまで4週間かかりました。しかし結果的に「21」はイギリスで480万ユニットが売れ、歴代4位の売上を記録したアルバムとなりました。

またアデルのデビューアルバム「19」は初週でわずか73,000枚 (これでも素晴らしい数字!)。

現在イギリスで歴代最も売れたアルバムは、クイーンとAbbaのベストアルバムがそれぞれ610万枚、520万枚で上位を占めています。しかしスタジオアルバムでの歴代最高はビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」で510万枚を記録しています。「25」は「21」を凌駕するヒットとなると業界では予想され、さらに上位に食い込む可能性まで示唆されています。

アデルと「25」をリリースしたインディーズレーベルXL Recordingsは、今回のアルバムをSpotifyやApple Musicなど定額制音楽配信サービスでストリーミング配信をしない決断を下したことが、業界では議論の対象となっています。

音楽配信サービスは配信を拒絶した形となりましたが、「25」のプロモーションでは英BBCのテレビ番組でのプロモーションがアルバムヒットにつながりました。リリース日の11月20日にはBBCで特集番組「Adele AtThe BBC」が放送され、450万人の視聴者数に届けられるなど、リリースに合わせたプロモーション戦略が成功の大きなカギとなりました。

「25」の初動は予想に応えるには十分な勢いで今後クリスマスシーズンを迎えることから「25」のさらなる売上アップが見込まれています。今後はブリット・アワードなどのアワード受賞や、さらにヨーロッパツアーを展開することで数字は確実に伸びていくと予想されています。

ソース
Adele’s 25 smashes chart records on its way to the top spot in the chart(The Telegraph)
Adele’s 25 is officially the UK’s biggest selling Number 1 album ever (The Official Chart Company)

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image by Franklin Heijnen via Flickr


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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