米国で歴史ある音楽雑誌「Billboard」がアメリカ人投資銀行家のTodd Boehlyが保有する持ち株会社に売却されました。金額は非公開。
1894年に雑誌が刊行されたBillboardの元オーナーである投資会社グッゲンハイム・パートナーズ(Guggenheim Partners)は、Billboardの他に、「The Hollywood Reporter」(THR)や「Adweek」「Mediabistro」などのメディア、ゴールデングローブ賞やアメリカン・ミュージック・アワードなど数多くのアワード番組を制作するプロダクション「Dick Clark Productions」を売却し、メディア事業の再編を図っています。
Todd Boehlyはメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースの共同オーナーとして知られています。過去5年に渡り、グッゲンハイム・パートナーズのメディア事業を取り仕切るグッゲンハイム・デジタルメディアの社長を務め関連する投資を担当してきました。
BillboardやTHRは2009年にグッゲンハイム・パートナーズによってニールセンから買収されました。
2013年には、メディア事業の買収やブランドの拡大を目指すグッゲンハイム・デジタルメディアが創設され、元Yahoo!のCEO、ロス・レビンソン氏がトップに就任する勢いで同社は注力するはずでした。
しかしレビンソン氏は2014年に同社を離れ、今年に入ってBillboard編集長のJoe Levyや編集者Phil Galloを含むスタッフを解雇、年間で2500万ドル(約30億円)ほど損失を出していると言われてきました。
今後は、Billboardは今後THRと同じ事業部「The Hollywood Reporter-Billboard Media Group」で運営され、運営チームも2016年まで続くと説明しています。
今年に入ってインディーズ音楽シーンから生まれた、今最も音楽業界で影響があるメディアPitchforkがConde Nastによって買収されて、業界や日本のネット上でも騒がれました。読者が共感できるオリジナル性の高いコンテンツを制作できる垂直型メディアビジネスに投資する動きは、音楽意外の分野でもBuzzfeedやBusiness Insider、Vox Mediaなどへの活発な出資を見るだけで、どれだけメディアの世界が今注目されているか一目瞭然です。オーディエンスをターゲットしやすくソーシャルやモバイル、データを通じて情報を届けやすくなっため、広告主にとっても魅力的な存在に進化したことからも、投資家とメディアの関係から生まれるメディア界隈の再編は、今まで以上に積極的に行われています。
音楽メディア「Pitchfork」を米メディアグループのCondé Nastが買収!
追記(2015年12月24日):Billboard Japanから本件に関する連絡を頂きました。米国Billboardによれば、Billboardの運営に関する組織変更を行う予定は無いとのことです。
ソース
Todd Boehly to Control Hollywood Reporter, Billboard(Variety)