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アップルが、定額制音楽配信サービス「TIDAL」の買収を目指して交渉を進めていることが関係者からの情報で明らかになりました。ウォール・ストリート・ジャーナルがレポートしています。

TIDALはヒップホップ・アーティストのジェイ・Zが運営する定額制音楽配信で、2015年4月にサービスを展開し現在は欧米やアジア圏など世界52カ国に市場を広げています。人気アーティストの作品の独占先行配信と、ロスレスの「CD音質」で配信できるのがTIDALの特徴で、他社には真似できない差別化要素をプロモーションの材料として新規ユーザー獲得を狙っています。

レポートによると、アップルとTIDALはApple Musicを強化するために、カニエ・ウェストやマドンナなど知名度のあるアーティストに支持されるTIDALを取り込むアイデアを含めた議論をすでに始めているものの、取引が成立しない可能性もあると関係者の情報を載せています。

Apple MusicやSpotifyは世界的に活用が広がりつつあり、TIDALもこの2サービスに比べて規模は小さいですが徐々に有料会員数を420万人にまで拡大しているところです。

Apple Musicは現在有料会員数が1500万人。Spotifyの有料会員数3000万人を追随しています。

TIDALとApple Musicで共通していることに、どちらも音楽コンテンツの独占配信を強化していることが挙げられます。Apple Musicはドレイクやテイラー・スウィフト、TIDALはビヨンセやカニエ・ウェスト、リアーナ、プリンスなどの新曲や動画の配信権を獲得し、それぞれのプラットフォーム内でのみ視聴できるアプローチを展開、新規利用者の獲得を目指している点では、共有できる側面も多いのではないでしょうか。

Apple Music立ち上げに対してアップルは、「Beats by Dre」ヘッドフォンブランドを運用するBeats Electronicsが始めた定額制音楽配信「Beats Music」を買収し自社サービスとして再編した過去があることから、Apple MusicにTIDALを加えサービスを拡大することはライバルサービスを一つ消せるメリット以上に、アップルがこの「定額制音楽配信」市場を広げたい本気度が見える気がします。

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定額制音楽配信の市場は、今後ますます世界的に拡大する勢いがあり、各サービスも世界での新規利用者獲得を強化している最中です。世界の音楽業界団体を代表する国際団体である国際レコード産業同盟(IFPI)がまとめた2015年の世界の音楽市場データによれば、SpotifyやDeezerなどフリーミアムモデルを含む定額制音楽ストリーミングサービスは、58.9%成長。一方でYouTubeなどオンデマンド型動画配信サービスを含む広告型のストリーミングサービスは11.3%の成長となりました。

また、SpotifyやApple Musicなど定額制音楽ストリーミングサービスからの収益は推定20億ドル(2168億円)で、初めて20億ドルの大台を越える成長速度を見せています。

関連記事はこちら:2015年の世界の音楽産業は史上初デジタル売上がフィジカルを上回る、IFPIが発表。売上150億ドルで3.2%プラス成長 | All Digital Music

ソース
Apple in Talks to Acquire Jay Z’s Tidal Music Service (WSJ)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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