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Tomorrowland」や「Electric Zoo」など大型の野外音楽フェスティバルを運営しつつも、巨額の負債を抱えて今年2月に米連邦破産法11条による破産申請を行った、プロモーション会社大手のSFX Entertainmentが、売却先を探していた子会社のエレクトロニックミュージック専門ストア「Beatport」の身売りを撤回しました。

SFXは2012年以降、世界的なEDMフェスの運営権を次々と獲得、IPOまで行い、一時期はSFXと創業者のロバート・F.X.シラーマンは、「EDM人気」を象徴する存在でした(破産前の2015年7-9月の3カ月で、世界中で31のフェスを含む286のイベントを開催)。

Beatportの運営に関しては売却を3月に発表。4月にオークションし、5月3日に新たなオーナーが明らかになるはずでした。

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2月の破産申請以降、SFXは子会社のデジタル音楽マーケティング会社「Fame House」と、オンラインチケット会社「Flavorus」を、ユニバーサルミュージックに売却しています。また社員の解雇、予定されていたフェスをキャンセルするなど資産売却とコスト削減を進めています。

しかし、現状ではSFXの将来は、不透明のままです。そして、この状況をさらに深刻化する動きまで同社自らが起こしています。

会社更生法下にあるSFXは、今年6月に入って破産申請後の再編に関する取り決めである「Restructuring Support Agreement」(RSA)を破棄する発表が同社の弁護士によって行われました。このRSAは、SFXに対して破産裁判所が提示した契約で、これを破棄することによってSFXは債権者と直接再編に関する交渉を行うことが可能になります。

SFXはBeatportを2013年に約5000万ドルで買収。現在、Beatportは破産の影響で、ダウンロードストア以外の機能(音楽ストリーミング・アプリ、ニュース、ライブ動画配信、イベント)を停止しました。

SFXからは同社の再編およびBeatportの今後についての発表は行われていません。

ソース
Beatport officially no longer for sale (Complete Music Update)
SFX Entertainment Terminates Chapter 11 Restructuring Agreement (hypebot)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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