アーティストとファンがVRでインタラクションできる、世界初のソーシャルVR音楽プラットフォームを目指す、ヴァーチャルリアリティのスタートアップ「TheWaveVR」が250万ドル(約2.5億円)の新規資金を調達しました。
シードラウンドに参加したのは、名門VCクライナー・パーキンス・コーフィールド・バイヤーズの新興技術専門チーム「CPKB Edge」の他、Presence Capital、Rothenberg Ventures、RRE Ventures、The VR Fund、Boost VC、Luma Launch、Seedcamp。さらにエンジェル投資家のMick Fischer、Joe Krausという面々が参加しています。
ここではPresence Capitalという2015年から活動するVCは、VRとARスタートアップを専門に出資するVCで、ビジネスが活性化する日本のVRの世界でも注目しておく価値がある組織だと思います。
Presence CapitalはVR投資に向けてすでに1000万ドル近く資金を調達済み。ファンドのマネージングパートナーの一人は、「HTC Vive」の創業者と言われる、元HTCのチーフ・コンテンツ・オフィサーのフィル・チェン(Phil Chen)であることも注目の的です。
TheWaveVRが目指す音楽VRプラットフォームは、ミュージシャンとファンがVR空間内でライブやオーディオビジュアルショーを通じてインタラクションできる「VR音楽ライブ会場」です。TheWaveVRを使えば、アーティストはトラックをインポートしたりビジュアルをカスタマイズするだけで簡単にVRライブが行え、VRでしか実現できない音楽体験をファンに届けらます。ファンは一般的なヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通じてアーティストや友人とインタラクションすることが可能になります。
TheWaveVRは現在開発を進めており、正式なスタートは今年後半と言われています。
TheWaveVRは8月5,6日に、SubPac、Skullcandy、PhaseSpace、3DLiveの協力を得て、世界初の「VRレイブ」をロサンゼルスで開催しています。VRレイブに出演するDJたちはHTC Viveを付けてパフォーマンスを行い、参加者たちはGear VRとSubPacsのサブウーファー内蔵ベストを着てライブをその場で楽しむことができるイベント。
CEOのアダム・アリゴ(Adam Arrigo)は、TheWaveVRが「ミュージシャンや音楽好きが音楽を通じて繋がる体験を変革する」ためのVR空間になると述べています。
私たちは世界初の音楽VRメタバースを開発することで、アーティストそして音楽好き同士を活性化し、音楽を通じて人がつながる方法を変革していきます。音楽クリエイターは、完全にオーディエンスの音楽体験をカスタマイズすることが可能となり、見慣れたクラブを宇宙空間に変えたり、想像もできないライトショーを展開することも可能になります
実際TheWaveVRの精度がどの程度までクオリティがあるものかは、現在はあまりにも公開された情報が少なく、完成度が気になります。
これまでも数々のVRスタジオがライブ・コンサートの360動画を撮影、ライブストリーミングしており、今後ますます音楽の世界で、VRの技術革新とユーザー体験が向上していくことが予想されます。
先日も科学未来館で開催されたビョークの展示会「Bjork Digital」に併せて開催されたライブイベントでも、ビョークとライゾマティクスによるオーディオ・ビジュアルがVRでストリーミング配信されました。また、ライブストリーミングアプリ「SHOWROOM」も、VRを活用した配信方式「SHOWROOM VR」を今年5月から開始。スマホで気軽に楽しめるライブVRとして、配信者のマネタイズや視聴者のコミュニケーションに新しい可能性を提示しています。
日本でも徐々に拡大する、VRと音楽の関係。コンテンツの充実と同時に重要なTheWaveVRのようなVR企業やプロジェクトへの投資や、ビジネス・パートナーの増加がVRビジネスの活性化には欠かせなくなります。VRがもたらす新しい音楽体験の可能性で、ファンとのインタラクション、クリエイターの表現方法、音楽ビジネスと、VRによって起きた波に音楽業界が積極的に乗ろうとしている現在の流れで、音楽エコシステム全体に新たな選択肢を提示してくれると期待したいです。
ソース
TheWaveVR raises $2.5M from KPCB and others to bring the concert experience into VR (TechCrunch)