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Netflixは、音楽著作権管理を行なう音楽出版大手「BMG」と、米国以外の音楽著作権管理で、契約を締結したことを発表しました。Netflixは米国での音楽著作権管理は自社で行います。

巨大動画配信サービスとして成長し続けるNetflixは現在は190カ国以上で9300万人のユーザーを抱え、1日の動画視聴時間総数は1億250万時間に及びます。

音楽出版では世界第4位のBMGとの契約では、Netflixオリジナル作品に利用される楽曲、テーマ曲、挿入歌などが含まれ、テレビ番組、映画作品、ドキュメンタリーなど広域に適応されます。

Netflixで音楽ライセンスを統括するドミニク・ヒューストン(Dominic Houston)は、「著作権管理のパートナーを長らく探してきた末、BMGと新たなパートナーシップを結べたことを嬉しく思います。特に、私たちはBMGの商業的かつテクノロジーにおける専門知識を高く評価しており、新しいビジネスの機会を共同で作れることを楽しみにしています」と述べています。

BMGはすでに数多くのメディア企業や大手エンターテインメント企業と提携し、著作権管理のビジネスを行っています。主なクライアントには、映画業界ではワインスタイン・カンパニー(Weinstein Company)、ウォールデン・メディア(Walden Media)、2929エンターテインメント、ボルド・フィルム、レラティビティ・メディア、アイコン・プロダクション、テレビネットワークではAMC Network、Turner、NFL Films、ゲーム業界ではActivision Blizzard、といった企業のコンテンツに於ける著作権を管理するサービスを提供しています。

ベルリンに拠点をおくBMGは、ドイツのメディア企業ベルテルスマンの子会社として、2008年に立ち上がりました(ベルテルスマンと投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツの合弁会社)。ベルテルスマンはかつて音楽グループ会社「BMG」を運営し、世界のメジャーレコード会社が「ビッグ・ファイブ」と呼ばれていた5社の時代に君臨した1社です。アリスタ・レコード、ゾンバ、RCAレコードなどを運営し、日本ではBMGジャパンまたはBMGファンハウスと呼ばれていたことで知られていますので、覚えている方もいるかと思います。

2004年にソニーがベルテルスマンの音楽部門を買収。2008年の完全子会社化を経て、ベルテルスマンは音楽シーンから無くなりましたが、著作権管理ビジネス専門にする「BMGライツ・マネジメント」を新たに設立し今に至ります。

現在BMGは250万曲以上の楽曲の著作権を管理し、音楽出版の世界で、世界的な影響力を持つ大手企業の一つです。アーティストや作曲家への利益分配を拡大するため、SpotifyやApple Music、YouTube、Google Play Music、アマゾンなど音楽ストリーミングサービス向けのデジタル楽曲ライセンスビジネスや、映画やテレビ番組用のシンクロ権の管理を行います。

BMGのCEO、ハートウィグ・マズフ(Hartwig Masuch)は、2016年1〜6月の売上は前年同期比4.6%拡大して2億300万ドル(約228億円)に成長したと語っており、近年ではビヨンセやリアーナ、ブリンク182、ロジャー・ウォーターズの楽曲カタログなどのライセンスを行っています。

ソース
Netflix Taps BMG for Music Publishing Rights Outside U.S. (Billboard)
image by tua ulamac via Flickr


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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