ワーナーミュージックグループは、ヨーロッパ最大の音楽物販会社「EMP Merchandising」の買収を発表した。買収額は約1億8000万ドル(約200億円)。

1986年に設立され、ドイツを拠点に音楽や映画などエンタテインメントに特価したECサイト運営を手がけるEMPは、Twenty One Pilotsやメタリカ、Panic! At The Disco、ニルヴァーナ、ピンク・フロイド、AC/DC、ガンズ・アンド・ローゼズなど多数のアーティストのツアーグッズや限定グッズの販売を手がけてきた。

またEMPはディズニーやマーヴェル、『スターウォーズ』、任天堂、PlayStaion、Vansなど、映画やゲーム、スポーツ業界の有名ブランドをクライアントに持ち、物販ビジネスを支援している。現在はヨーロッパ18カ国でECサービスを展開している。

ワーナーミュージックはEMPを買収することで、ECサイトからファンやユーザーに直接グッズを販売していくD2Cビジネス戦略の強化を図る。

世界のレーベルにとっては、音楽ストリーミングサービスからの収益化拡大は至上命題だ。その一方で、世界的に好調が続くライブビジネス市場や、直接アーティストとつながりたいロイヤル・カスタマー向けビジネスにおいても、ファンとの接点を作り、良い関係を維持することも重要視している。

そのため、ファンの新規開拓や製品開発といった領域で物販ビジネスとの連携は今後さらに求められる。そのノウハウやデータを持つEMPを獲得したことは、ワーナーミュージックにとって大きなメリットとなるはずだ。

買収完了後にEMPはワーナーミュージックグループ内のグローバル・アーティスト&レーベルサービス部門の一部となる。

ワーナーミュージックは2017年からデジタルサービス周辺の買収戦略を強化しており、EMP買収もその一貫となる。ワーナーミュージックはA&Rデータ解析スタートアップの「Sodatone」、カルチャーメディア企業「UPROXX」、エレクトロニックミュージック専門レーベル「Spinnin’ Records」、コンサート検索アプリ「Songkick」を買収してきた。

ワーナーミュージックグループのグローバルコマーシャルサービス部門CEOのスチュー・ベルゲン(Stu Bergen)は「EMPは、私たちのグローバル規模でのアーティスト発掘とマーケティング戦略を補完する、強力なライフスタイルを提案する場所を構築してきました。彼らの音楽に特化した専門知識は、オーディエンスの好みや需要を理解するための重要なインサイトを私たちに提供すると同時に、アーティストたちに新しい可能性を広げてくれます」とコメントしている。

ワーナーミュージックグループの音楽部門CEOのマックス・ロウザダ(Max Lousada)は、「音楽ストリーミングの時代が到来した現代においても、音楽物販はファンがパッションや個性を表現するための最高の手段の一つであることに変わりがありません。音楽物販はまた、グローバルレベルで音楽がカルチャーやファッションに視覚的かつ物理的な影響を与えていることを示しています。EMPが加わることで、私たちは世界中のインフルエンサーたちとの関係構築を拡張する戦略をさらに進めていきます」と語っている。

source:
Warner Music to Acquire EMP Merchandising for $180 Million (Variety)

Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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