SpotifyやApple Music、Amazon Musicなどのサブスクリプション型音楽ストリーミングサービスが好調ぶりを示しているのを横目に、SoundCloudは近年、経営難に直面してきた。

だが苦しい時期も終わりに近づいているようだ。

イギリスのCompanies Houseに先日提出された2017年の業績レポートによれば、SoundCloudの年間売上高は9066万ユーロ(約113.7億円)で、前年比80%と大きく増加した。

損失額は2016年から減り、営業損失は7051万ユーロ(88.5億円)から5142万ユーロ(64.5億円)と27%減少。純損失は6382万ユーロ(約80億円)だった。

2012年からSoundCloudの収支をグラフにしてみると、このようになっている。

SoundCloudを支えるサブスクリプション・ビジネス

SoundCloudが業績を伸ばすためには、サブスクリプションビジネスが鍵を握っていると言えるだろう。

2017年、SoundCloudの売上成長に貢献したのはサブスクリプションだった。彼らの年間売上9066万ユーロのうち、7266万ユーロ(91.2億円)がサブスクリプション・ビジネスからで、広告収入の1805万ユーロ(22.6億円)を大きく上回る。

2016年の売上と比較しても、サブスクリプションは89%も増加している。2016年、SoundCloudの収益内訳はサブスクリプションが3844万ユーロ(48.2億円)、広告収入が1186万ユーロ(14.9億円)だった。

地域別の売上を見てみると、サブスクリプション・ビジネスは米国が4793万ユーロ(約60億円)、その他の地域が2468万ユーロ(31億円)。広告ビジネスは米国が1650万ユーロ(21億円)、その他の地域が156万ユーロ(1億9500万円)だった。

グラフで見ると、SoundCloudの売上80%がサブスクリプションで成り立っていることが分かる。

SoundCloudの現状

2017年、SoundCloudはサンフランシスコとロンドンのオフィスを閉鎖し、40%のスタッフを解雇するという大規模なリストラを行ったことから、音楽業界や投資家の間では同社が資金枯渇状態にあると騒がれた。実際に、同社はコスト削減と並行して、シンガポール政府が所有する投資会社TemasekとアメリカのThe Rainer Groupから1億7000万ドルの投資を受け経営破綻を免れている。

創業者の一人だったアレクサンダー・リャング(Alexander Ljung)はCEOを退職し、会長職に専念するなど、経営陣が刷新された。そしてCEOには、前VimeoのCEOだったケリー・トレイナー(Kerry Trainor)が就任し、2017年から2018年にかけて人材採用も積極的に行ってきた。

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紆余曲折の末、ようやくSoundCloudの音楽ビジネスは好転し始めてきた。

ビジネスライクな経営戦略に切り替え始めた同社は現在、ユーザーとクリエイターの双方に月額課金を展開するサブスクリプション戦略に注力している。

ユーザーは課金することで、より多くの楽曲にアクセスが可能になる。またクリエイターは、アップロードできるストレージ容量などプラットフォームで音楽活動するための制限が無くなり、配信する楽曲からの広告収入などマネタイゼーションツールも利用可能になることが大きなメリットだ。

SoundCloudは2017年末で、楽曲数1億9000万以上のコンテンツを持つ、世界最大規模のオーディオプラットフォームとなっている。

source:
SoundCloud Revenues Grew 80% To Top $100M In 2017 (CelebrityAccess)


Jay Kogami

執筆者:ジェイ・コウガミ(All Digital Music編集長、デジタル音楽ジャーナリスト)

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