世界の音楽業界を代表する音楽団体、IFPI(国際レコード連盟)が2018年のグローバル音楽市場売上をまとめた最新レポート「Global Music Report 2019」を公開した。
世界の音楽市場は2018年には前年比9.7%プラス成長を達成。これで4年連続のプラス成長を記録した。グローバル音楽市場の売上規模は191億ドル(約2兆1270億円)だった。
2018年、国別の売上規模では1位は米国、2位日本は2017年から変わらず。3位の英国、4位のドイツが入れ替わり、5位フランス、6位に韓国が入った。
注目は7位に入った中国で、2017年はグローバル市場では10位だったが1年で3つ順位を上げるほど成長を遂げた。
8位はオーストラリア、9位はカナダ、10位はブラジルだった。
IFPIのCEO、フランシス・ムーア(Frances Moore)は2018年を振り返って次のように述べている。
グローバル規模での音楽市場の成長には、地域別の成長が貢献しています。ラテンアメリカはブラジルに牽引されて、地域別では最大の成長を遂げました。アジアもグローバル音楽業界で重要な市場であり、中国と韓国が成長の原動力となっています。中東、北アフリカにも注目が集まっています
このように今回のレポートでは、IFPIやメジャーレコード会社たちは、これまで知られてこなかったローカルなアーティストの世界進出や、音楽ストリーミングが普及してこなかった地域の成長を大きく取り上げ、それらの地域を世界規模での成長戦略の軸として捉え始めていることが特徴だ。
音楽ストリーミングが市場の中心に
音楽市場の成長を牽引したのは、音楽ストリーミングで、売上高は前年比34%増加し、89億ドル(約9901億円)を達成。
音楽ストリーミングは全体の収益シェアでは46.9%まで拡大しており、2019年には50%を超えることが予想される。
サブスクリプション型音楽ストリーミングの売上は32.9%増加。
低迷が続くのは、フィジカル音楽とダウンロードの売上だった。フィジカル音楽は売上全体でシェアが24.7%まで低下している。それ以上に深刻に落ち込んでいる音楽ダウンロードは、7.7%までシェアが減少してしまった。
フィジカル音楽の売上は10.1%減少。ダウンロード売上は21.2%減少と、二桁の減少を記録した。
IFPIはフィジカルが今も売上に貢献している音楽市場として日本、ポーランド、ドイツの3カ国をあげている。日本の音楽市場でフィジカルが占める割合は71%。ポーランドは47%、ドイツは35%だった。
フィジカルと音楽ダウンロードは低迷したが、好調な音楽ストリーミングが減少額を上回った。
デジタル音楽の売上は21.1%増加し112億ドル(約1兆2470億円)。
音楽ストリーミングが世界に拡大
IFPIが示した成長要因の一つは、ストリーミング新興市場だ。市場別では、ヨーロッパ市場の成長は0.1%と微増。北米は14.%だった。その一方でアジア/オセアニアは11.7%、ラテンアメリカは16.8%と大きな成長を達成している。
アジアやオーストラリアはこれまでフィジカルが強い音楽市場だったが、サブスクリプション型音楽ストリーミングが29.5%と大きく伸びたことで、アジア地域全体に勢いが出ている。売上の成長率で見ると日本は3.4%、韓国は17.9%、オーストラリアは11%だった。
ラテンアメリアも音楽ストリーミングから大きな影響を受けた市場だ。特にフィジカル(-37.8%)、ダウンロード(-45%)が大きく低下した中、音楽ストリーミングの売上は39.3%成長させることに成功している。
IFPIのレポートでは、2018年の成功例としてJ Balvin(コロンビア)、Aya Nakamura(フランス)、George Ezra(英国)をピックアップしている。
また、今後さらなる成長が期待される音楽市場としてラテンアメリカ、ブラジル、アジア・オセアニア、韓国、中国、中東、アフリカをあげている。
source:
IFPI Global Music Report 2019 (IFPI)